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「しにたい気持ちが消えるまで」

 これも出た当初から買おうかどうしようか悩んで、結局図書館で予約を入れていた本。
 自殺未遂をして、今は障害者となって生きている豆塚さんの自伝的エッセイ。

 自殺をして生き残った人がそのことを本を私はこの本くらいしか知らない。
 自殺件数がコロナで増えたと聞くけれど、自殺に失敗した人も、見えないだけで実はかなりいるのだろうな、と思ったりする。思っているより死ぬことは結構難しい。

 豆塚さんの淡々としていて、みずみずしい文体は私には読みやすい。YouTubeの読書会も参加してみたけれど、お話になる雰囲気が、文章の通りの雰囲気でした。 リハビリのお話なども、ものすごく大変だっただろうと思うのだけど、当たり前のようにさらっと書かれている。なんというか日常感。
 今ここにフォーカスして、目の前の課題を解決し続けることが、生きるということなのかもしれないな、と思う。
 そういう一歩一歩を踏み締めることが、生きることを受け入れることなのかもしれない。 

 死にたい気持ちが、いつどうやって消えたのかはよく分からない。毎日を少しずつでも生き続けることで、死にたい気持ちが消えていくのかもしれない。

 豆塚さんは、身体が生きたがっているから、と言う。
 その感覚はなんとなくわかる。

 私も昔は頭が身体を支配しているかのように思っていたけれど、今は違う。身体と頭が考えがちがうことはある。
 休職直前の1番ひどい時に、身体が頭を停めにきた感じを味わった。あの時はびっくりしたし、頭と身体は別なんだな、と思った。
 頭だけでなく、身体の声に耳をすますことも生きることを受け入れることかもしれない。

 過剰な前向きな考えや、明るさ、感謝などが特になく、日常の延長線上にあるような気がする「死にたい気持ちが消えるまで」。読んで良かったな、と思う。

 車椅子のバスケットボールの話や、日々のリハビリの話、マラソンな話なども面白かった。さらりと何気なく書かれていて、全体に言えることでもあるのだけれど、フラットに読めてよかったです。 

 これで書きためたストックはおしまい。最近本を読んでもあまり感想が浮かばず、書けていない。


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