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「Lee Ufan」展

 Lee Ufan展に行ってきた。
Leeさんの作品は多分2年前の年末に六本木ヒルズの美術館で観て、気になっていた。さまざまな人の作品の中の一つという感じだった。今回は、回顧展ということで、行ってみた。
 現代アートはよく分からないことが多いので、音声解説を借りることにしている。今回は中谷美紀さんのナビゲーションで、とても心地よかった。Lee Ufanさん自身のコメントもあり、感じるきっかけをたくさん与えてくれる。

 美術展の感想を書こうと思ったけれど、すごく難しい。自分にはよかった、みたいなことしか書けない。きっと自分に美術の知識がないから上手く言語化できないのだと思う。美術展の感想を読んだりすると断然行きたくなるし、こう見ればいいのかとか気づきがあるけれど、自分にはとても書けないなー、と今思っている。
 きっとよく伝わらないとは思うけれど、備忘録的に書いておこうと思う。

 鑑賞してみて思ったのは、作品と私の響き合うような関係性だ。
 モノとの関係性を表したシリーズ(確か「関係項」のシリーズ)もそこに置かれたモノとモノの間に流れるちょっとした緊張感やバランスみたいなものを少し離れて見るのも良いけれど、近くに寄れる作品の場合、あえてモノとモノとの間に入ってみたすることで、自分を含めた3つの関係性で見ると、また違うものが立ち上る。人が鑑賞する様子を見ていてもそれはまた違ったもので、面白い。
 関係性とはあやふやであり、その場その場で立ち上がる偶然性のある不思議なものなのだな、と。

 時間を表現したシリーズも興味深い。個人的には時間を表した表現で好きなのは杉本博司の「劇場」なのだけれど、こちらの時間もまた面白い。時間を表現する作品は時々出くわすけれど、表現者によって大きく違ったものになる(当たり前だけど・・)。
 時間について考える時、日常の中では、追い立てられたりするシーンが多いような気がして、時間そのものについて考えることがないな、と。

 最新作のシリーズ「応答」の連作は、描かれたものより、描かれなかったところに注目する作品。描かれたことについ注目しがちだけれど、あえて描かれなかった空白のキャンバスを観る。それだけで、すでにちょっと面白い。
 なぜこの空間の中で何も描かれなかったんだろう。描かれたところと、描かれなかったところの関係。自分と作品の距離によってもその関係性は変わっていく。

 その場所で見た一回きりの自分に見える作品、というのは、この回顧展どの作品にも言える気がする。偶然性ということを強く意識した。

 会期中もう一回行ってもいいなー、と思う。また次行った時には、違う見え方が生まれてくるかもしれない。


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