見出し画像

「元気じゃないけど、悪くない」

 青山ゆみこさんの新作「元気じゃないけど、悪くない」。不調をどういなして、悪くないまでもっていくか、これは私の日々の課題である。ということで、気になっていたので、手に取った。

 飼っていた猫との別れ、アルコールとの縁切りの話など、めまい、更年期、などなど、割と身近な出来事、不調を取り上げている。でも決して暗くはない。

私の人生を「やり直す」ことはできないが、生活は「立て直す」ことはできるかもしれない。現に、リハビリ開始後の「運動」に見立てた「行動」は、そのまま今の私の生活をつくっている。

p.226

「自分でわからない」ことは、「自分だけ」では言葉にできないことなのかもしれない。だから本を開けば届いてくる言葉にも耳を傾けて、自分の言葉を探すのだと思う。

p.233

 これから先、不調とは切っても切れないことになりそうなので、それをどうやりくりして、元気ではなくとも、悪く無いまで持っていくか。貴重な体験談。やり直せなくても立て直せる、という言葉は、は心強い。

 こうして先人の書き残してくれるものがどんなにありがたいことか。
 正直不調の話は、人にはしたくないと思う。自分もあまり思い出したくないし、話して楽しいものでもないから。内輪でこっそりシェアされるイメージがある。
 そんな話を大っぴらに対策も含めて書き記してくれるのはとてもありがたい。ケースバイケースではあるのだろうけど、心構えができるというか、ちょっとお守りのような気がする。

 不調はいつ来るかは分からないけれど、この本はそのお守りのようになるかもしれない。転ばぬ先の杖、とまではいかなくても、いざとなった時に、具合が悪くなったらどうするか考えるに際して、少し心に余裕ができそうな気がする。
 転ばぬ先の杖本という感じかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?