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「百年と一日」
柴崎友香さんの「百年と一日」。とても良きと聞いたので、文庫になったこともあり手に取ってみる。
この本は短編集のようなもので、一つ一つは長くない。一つ一つがどの時代なのか、日本ではあるけれど、そうでないところもあるような、不思議な小説になっている。
いつ頃か、場所もわからないけれど、どこか懐かしかったり、こういうことってあるな、といううっすらとした共感を感じられる。とはいえ、登場人物画関西弁ぽかったりはするんですけどね。
人の名前も、「二組一番」と書かれているものがあったり、苗字のものがあったり。「二組一番」と書かれていても決して人間味がないわけでなく、そこに確かに人が立ち上がっているのが見える。
色々と不思議な作品だな、と思う。社会がどうであろうと確かにそこにある市井の人の生活を淡々と描いている。その時々の登場人物たちの半径5メートルくらいの世界。これこそが生活というものという気もする。
大きな事件も喜劇も悲劇も起こらないけれど、なにか人というものを感じて、忘れられない、という本なのかなと。
なんとも形容し難いのですが、良かった。これをフィクションで書けることがすごいなと、つくづく思った。
すごく曖昧な事ばかり書いているけれど、なんとも言葉にできないというか。嫌いではなく、むしろ好き寄りの本なのだけど。
燃え殻さんの「全て忘れてしまうから」に似ているような、そうでないような。
他の本も読みたいし、「ケアをひらく」シリーズでも本を出されたので、そちらも読んでみたい。
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