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「聞くこと、話すこと。」

 以前読んだ尹さんの本も良かったし、坂口恭平さんも出てくるとのことで、手に取ってみました。

 読み終わってみて、この本、本当に良かったなぁ、と。最初ちょっと読みにくいかなと感じたこともあるけれど、読み進めるうちに目を開かれるような感覚がして、とても良かった。
 自分が普段読んだり聞いたりしていることを違う角度から見たような、そんな風に感じる。

 「ドライブマイカー」の濱口監督、上間陽子さん、ユマニチュードのイヴ・ジネストさん、坂口恭平さんとのインタビューの話が出てくる。

 インタビューしているのだけど、それぞれの人の言葉はほとんど語られず、著者の眼差しを通してその人たちの語ったことを理解する、という少し不思議な形式で、インタビュー本とはまた違った試みがあって面白い。
 それが聞くことの新しい姿勢というか、眼差しでもあるような気がする。

 個人的には、上間陽子さんの章は電車の中でも涙が抑えられなくなるほど、沁み入るものがあった。

 最後の5章の共感に関する考察は、ハッとすることがあった。

 共感や投影は、相手の話を自分の話として聞いている。けれども本当に話を聞こうと思うのならば、他者の声を尊重するならば、相手の話を相手の話として聞かなかくてはならない。あなたという存在は私の共感の及ばないところで生きている。

 共感ってなんだろうね。
 最近自分の感情や人と向き合うことにとても難しさを感じる。

 この本はとても良かったのだけど、うまくそれを表すことができない。なんでだろう。読み終えたのは割と最近なのにまた読みたい。最近うまく自分の中の響いたこととか、心に残ったことを表に出せない気がする。なんでかな。
 深く考えるものそうだけれど、何にかストッパーみたいなものがかかりがちで。

 とりあえず近いうちにまた読み返したい。


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