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「ブランクーシ 本質を象る」展

 先月体調も回復してきた時に、通院後に頑張って行ってきました。
 前々からこれは行きたく思っていました。あまりよく知らない割に、彫刻、彫塑が好きな私です。
 イサム・ノグチもブランクーシのところで働いていたことがあるとこのことで気になっていました。イサム・ノグチの美術館も行けてないのですが。

 評判通り、とても良かったです。実物を観る前は、何となく余計なものを削ぎ落として、象徴的な形を取り出す、みたいなイメージが少しありました。実物を観るとそうではなく、全体がとても美しいので見落としそうになりますが、所々くびれていたり、ささやかに切り落とされている部分があったりする。
 また、この有名な「接吻」も360度観れるようなっているのだけど、前から観るのと後ろから観るのとで、表情がまた違ってた。
 今回は360度観れる作品が結構あって、個人的には良かった。作者的には前後ろはあるのだろうけど、後ろから観ても、当たり前ですが、細部まで作りこまれているのがよく分かるので。

接吻 ななめっていてすいません。


ブランクーシは20世紀の彫刻家です。彫刻のみならず、自分の作品を撮ることから派生して写真も彼のアートの一つと言えると思います。今回は写真の点数も多く、ブランクーシの彫刻作品やアトリエの様子を本人の撮影で観ることができる、という興味深い体験ができます。
 彫刻と写真の融合といいますか。図録などもそうですが、写真で作品をみるってそれは鑑賞に入るのか、みたいなことが一抹よぎるかも知れませんが、作者自身の撮影というのは、写真を通して作品をみることを、勝手ながら少し肯定されている気もする。

 ちょっと見逃しそうなところに動画もあったのだけど、実際の創作シーンも撮られていて、感動。映像に残るというのは良い。
 石の彫刻の映像だったのだけど、本当に力仕事で、全力で石を砕き、形造る様子には驚いた。彫刻、切り出す系はかなり体力仕事なのだな。

 今回の展示は、オーディオガイド的なものがなかったし、展示の中にある解説もそんなに多くはなかったので、詳細が知りたかったので、思い切って図録を買った。展示の中に解説が少ないのは作品を集中して観れるので良いことなのだけれど。
 先日読んだ「センスの哲学」でもあったように「脱意味」的に考えるとあまり解釈や意味にとらわれない方が良いとは思うのですが、私はやっぱり気になるものに関しては、創作の背景とか知りたいと思う。
 観ていてタイトルと見た感じがあれれ?みたいなものがあったんだけれど、解説を読むと、私のあれれ、は、作者の意図したものだったようで、少しホッとした。鑑賞に正解はないとはいえ、ちょっと気になるので。

 展示室の雰囲気がわかる写真を。ひきの写真が多くなってしまった。



 
 大きな展覧会ではないので、展覧会あるあるの座るところもないし、途中で休めないので行きずらい、みたいな人も、通しでみれる規模なのでは、と思いました。相変わらず椅子はないのですが。(映像のコーナーはあります)
 私は、帰りに通る常設の方は途中で力尽き、展示室の脇にある休憩スペースで20分くらい休憩してから帰りました。
 アーティゾン美術館は、常設の方も色々多彩な作品があって良いので、おすすめです。そんなに規模は大きくはないのですが、いつも充実した企画と常設で良い美術館だと思います。ミュージアムショップもこじんまりしていますが、充実しています。

 あとは、デ・キリコだけれど、会期中に行けるだろうか。こちらも観ておきたいと思っています。


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