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まどろみの世界VOL.3(音楽映画のリアリティ・ラインについて)


映画でリアリティ・ライン(以下RL)という用語があります。高ければ現実に近く、低ければ非現実になるという物です。
映画というのは所詮は作り話しなのである程度の嘘はないとエンタメにならないというのはあります。
例えばスターウォーズとかの宇宙での空中戦は宇宙は真空なので音はしないです。
でも、無音の宇宙の戦いは上がらないですよね
特にSF映画はリアリティ・ラインが低いです。
例えば、あんなに科学が発達してるのになぜ最後は刀や肉弾戦なんですか?
遠くから撃つなり、もっと高度は兵器かあっても良いですよね。
怪獣はなぜ同じ種類が一頭しかいないんですか生物ならそれなりに数がいるはずです。
宇宙人は1人じゃなくて、たくさんでくればウルトラマンにも勝つと思うんですけど。

アクション映画では、あんだけ打たれたら一発くらい当たるだろうとか。同時に複数人で襲えば良いのになぜ1人づつ行くの?
街中でドンパチやって警察は?
一般市民は巻き添えにならないの?
これらは映画だからと許さないとエンタメにならないので僕らはそこには触れずに見てるわけです。
でもこれがヒューマン・ドラマ、実話ベースの話しになると僕はリアリティ・ラインがどうしても高くなってしまい、ちょっとでもそこが気になると映画に冷めてしまうんです。
特に音楽映画は自分の専門でもあるので、どうしても解像度高杉晋作(タマフル用語です)になってしまいます。
とりあえず専門なので音楽映画に関して語ろうかと思います。
例えば「ボヘミアン・ラプソディ」時系列が違うというのは映画にするのには仕方がないんですが、
「We Will Rock You」が出来るシーンでスタジオ・ブースにマネージャーのデスクがあるとか、バン売ったくらいでレコーディングの資金は無理だろうとかも思いました。
ライブエイドの当日にフレディーがあっちこっち寄ってから来るのもちょっと違和感でした。
「クリエイション・ストーリー」という映画ではアラン・マッギーがマイ・ブラッディ・バレンタインのスタジオから締め出されて歯軋りするというシーンがあるんですが、ドアがガラスなんです。
演出上ガラスじゃないと成立しないシーンなんですが、スタジオのドアがガラスだと防音が出来ないのであり得ないと思いました。
傑作大前提ですが「ブルース・ブラザーズ」「リンダ・リンダ・リンダ」両作のギリ間に合った演出は微妙ですが映画のウソという事で許しましょう。
ネタバレになるんでこれから見る人はここでやめてもらって良いですが「キリエの歌」今年劇場で観た映画121本中ワーストだったんです。
まず、歌えるけど話せないという設定はどうなったの?
ランジェリーシーンの意味なくないですか?
学校の先生なのに、そこでごねますか?
進学やめる動機弱過ぎ
刺されてるなら警察呼べよ。
とか色々あるんですが音楽映画なので音楽に関してのみ書きたいと思います。
冒頭で主人公はガット・ギターを持ってるんですが説明が無ければ普通にフォークギターで良い思うんです。
簡単なプレゼンなのに日本のトップレベルのスタジオ(乃木坂ソニースタジオ)を使うは予算がよほどある事務所なのかと思います。
マネージャーと称する人も同業他社に売り込むような振る舞いをするのも謎です。
たとえ、どんなに歌が上手くても(MISIAでも)喫茶店でいきなり全力で歌われたら迷惑以外の何者でもないと思います。
あの規模の屋外ライブを無許可でやるのは不可能だし、設営の時点で公演の管理者が来ると思います。
警察もうろうろするのではなく電源を落とす指示をすれば良いだけです。
前述の映画の嘘として許せる範疇を明らかに超えているので指摘せざるを得ないです。

アニメですが「ロック・ザ・ボッチ」は誘われた当日にリハ無しでステージに立ったり、ストリート・ライブのリアリティだったり気になる所はあるんですが、下北沢シェルターが舞台になったり、いかにも今風な曲をやったり、かなりRLは「けいおん!」より高くなってます。
架空のバンドなのにギターマガジンの表紙、巻頭になってるのも驚きました。新しいガールズ・バンド・アニメが出来るなら更なるRLが上がる事を期待します。
ちなみににアマプラで配信された「デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃」という70年代の架空のバンドのドキュメンタリー・ドラマがあるのですが、これがリアリティ・ラインがすごい高くて、全く突っ込み所がありません。レコーディング・スタジオをきちんと知らなければ分からないような細い部分まで完全再現されていてびっくりしました。

こんな音楽映画は観たことないし、映画の嘘がなくてもこれだけの作品が作れる証明にもなりましたね。
モチーフとらなったフリートウッド・マックのメンバーも絶賛したのもさもありなんです。
実在のバンドではないので本人と似てる似てない問題からも逃れられるのでこれは発明ですね。
今後、マイケル・ジャクソン、プリンスなど色んなミュージシャンのドラマや映画が出来ると思うんですが、このリアリティ・ラインには注目して行きたいと思います。

個人的には安室奈美恵の伝記ドラマとかかなり面白くなりそうですが、どうですか?


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