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“愛らしさ”についての思案
こんにちは。研究員Hです。
最初の更新から少々時間が空いてしまいましたが...
今日は、最近思うことについてつらつら書いてみようと思います。
先日、映画「ドライブ・マイ・カー」がアカデミー賞の国際長編映画賞を受賞しましたね。
この映画で象徴的だったのが、サーブ900という赤い車です。1978年に発売されたそうで、少し角ばったフォルムがなんとも言えない魅力を放っています。現代の車にはない野暮ったさといいましょうか...
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この車の例も然り、身の回りに溢れる様々なものの機能やフォルムがどんどん進化し洗練されてくると、一周まわって昔のデザインや機能が魅力的︎(新鮮)に映ることってありませんか?
かくいう私も、最近趣味でフィルムカメラを始めました。
いい写真を手軽に失敗なく撮りたいなら、iPhone一台あれば事足りる時代。それなのに、あえて手間やお金がかかる上に失敗のリスクも高いフィルムカメラを選んだのはなぜか。
古くて手間がかかるけど、そこには真新しいものにはない“愛らしさ”があるからではないでしょうか。それは、長く付き合ううちにどんどん増していく愛着のようなものに変わっていくのかもしれません。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76768311/picture_pc_975fe8d2cc22adf58bb69c6b2b76e493.jpg?width=1200)
この話をファッションに当てはめてみましょう。
毎年2回(正確にはもう少し多いですが)、パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨークをはじめとした世界各地で行われるコレクション。そこで発表されたラグジュアリーブランドの新作が世界中で作られ、世界中の国々で販売されるというサイクルが、もう何十年も前からファッションの世界では当たり前に行われています。
毎シーズン発表される新作コレクションにおいて、各ブランドが打ち出すテーマとしてよく聞くのが以下のようなキーワード。
・○○年代の□□(ファッションスタイル)から着想を得たコレクション
・○○年代に△△がデザインしていた時代のアーカイブから着想を得たコレクション
これはつまり...
誰もが知るような一流と言われるファッションブランドのデザイナーも、毎回ゼロからイマジネーションが湧き上がってくる訳では決してなく、過去の服装やスタイル(やその裏側にあるカルチャー)から着想を得て、それを今っぽくアレンジしているということ。
何十年も前のファッションを掘り下げ、そこに現代の解釈や技術を用いて再構築する、という行為をわざわざ行っているのです。これは、過去の時代へのリスペクトであり、その時代にしかないファッションやカルチャーへの憧れであり、その時代の洋服に愛らしさを感じているということに他なりません。
古い時代の洋服には、その時代が纏う空気感やエスプリのようなものが宿っています。
これは、ヴィンテージが持つ大きな魅力だと思うのです。昔のワークウェアやミリタリーウェア、流行したファッションスタイルなどから着想を得た最新作が、毎年さまざまなブランドから数多く発表されています。ヴィンテージなら、そのリアルな空気を纏った洋服を手頃な価格で、人と被ることも少なく、気軽に楽しめる。そう考えると素敵じゃないですか?
そんなことをぼや〜っと考えていた最近、久々に引っ張り出したのが今回のピックアップ図書です。
1600年代〜1990年代に流行したファッションスタイルが解説付きのイラストで描かれていて、とても勉強になります。過去のファッションスタイルや時代の変遷を知るのにオススメの一冊。
もし興味があったら手に取ってみてください。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/76775772/picture_pc_0d85ea575a042622a34a350542c43c51.png)
高村 是州『ザ・ストリートスタイル』グラフィック社(1997年)
本日はこのあたりで。
それではまた!
![iOS の画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/75732888/picture_pc_0f5986cfb136be834eb4495991d3b939.jpg?width=1200)
株式会社アンティー・デザイン
⑤Vintage Laboratory 研究員H
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