『BLEACH』 3巻 感想
概要
著者:久保 帯人
初版発行:2002年
デジタル版発行:2012年
発行所:集英社
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発行者による作品情報
感想
一護をはじめ黒崎家の皆さんが、いつになくハイテンション。
…でもそれは、内に秘めた悲しみを封じ込める為の取り繕い。
そこにいち早く気づけた織姫って凄いな。
最初に読んだ時は気づけなくて(織姫はもちろんたつきにも)「…何言ってんだ?」となりました。何度も読み返して、抱き合って眠る遊子と夏梨や終盤を見てようやく、一護だけじゃなく家族全員"偽物のハイテンション"だったことがわかったくらいです。そうとわかると、"アホみたいに面白いシーン"だったのが途端に"あまりに悲しい、空虚なシーン"に変わって見えました。
久保先生の描き方が上手いのか、僕が鈍いのか。前者だけであってほしいです。
中盤では、一護が語った「お袋が殺された日」という言葉の真意と真相が明らかに。
真相を知る前はもちろん、知ってからも一護からしたら"霊が見えたために母が虚に殺されたのだから、自分が殺したようなもの"と思ってしまうのも無理はない。曇らせの"隙を生じぬ二段構え"です(作品が違う)。
つくづく久保先生は精神攻撃を描くのが上手いなと、感動すら覚えました。
だからって一護だけじゃなくてルキアまで曇らせることもなかろうよ(後々まで読むとコンの何気ないセリフも含めて、この巻の重さが倍増します。久保先生の鬼)。
最後には、一心の言葉もあって一護が死神代行として戦い、強くなる覚悟を決めます。
ここの一心は愛妻が亡くなってからの年数数え間違えたくせに「父親キャラの鑑」といっても過言じゃないカッコ良さ。ここや後々のそういうシーンを見たら、そら実写版で江口洋介さんをキャスティングしたくもなるわな、と思うこと間違いなしです。