『BLEACH』 7巻 感想
概要
著者:久保 帯人
初版発行:2003年
デジタル版発行:2012年
発行所:集英社
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発行者による作品情報
感想
個人的にこの巻は、物語の大きなターニングポイントになったと思っています。一つ目は「一護が名実ともに"負けた"こと」、二つ目は「目の前以外のことも考えて戦わねばならなくなったこと」です。
まずは一つ目。決着はビックリするくらいあっけなくつきました。白哉の
という台詞は、力の差を思い知らせるものとしてあまりにもピッタリでした。状況も加味すればベストマッチ。さすが久保先生。
そして、このままではルキアが処刑されてしまうこと、さりとて今尸魂界に乗り込んだところで自分も死ぬだけということから、一護は浦原の元で修行することになります。ここからの修行がシリアス一色ではないのに、過酷さというか"死と隣り合わせ"って感じが凄く伝わってきます。逃げ回る中でウルルのスピードにはついていけていることに気づいたシーンなど、彼はまさしく「実戦経験をつむことで成長・覚醒していくタイプ」なんだなというのがここだけ読んでもわかると思うくらいです(頭もいいけど)。
それはそうと、この頃から恋次って"慢心野郎"的なキャラ付けだったんですね。格下相手とはいえ、気を抜きすぎて話を遮られるわ、隠密機動の報告も信じなかった結果負けそうになるわ、挙句それを白哉に窘められる始末。少なくとも隠密機動の報告を聞かされた時点で「何か"隠された力"の類があるのかもしれない」と警戒しておけよ…とは思いました。
そして二つ目。「世界の命運が〜」というレベルではないものの、一護にとって行き先を迷わせる要素が出てきます。それは「ルキアは本来、尸魂界の存在であること」、裏を返せば「人間界にいるのが不自然であること」。このままでは処刑されてしまうとはいえ、ルキアを尸魂界から救い出すということは、彼女の家族や友人と(おそらく永遠に)引き離すこと。それを考えると、ただ戦って処刑しようとする連中を倒してスッキリ解決…とはならないです。
そこで、織姫がそのことを述べた上で、冗談めかして以下のエールを送ります。
これを受けて迷いが吹っ切れ、一護は覚悟を決めるわけです。その裏で織姫とチャドも。
戦力的に表に立つわけじゃないキャラのこういう言葉で主人公が奮起するの、良いですね。他作品で言うと『仮面ライダージオウ』の順一郎おじさんとか『機界戦隊ゼンカイジャー』のヤツデおばあちゃん(言った相手はステイシーだけど)とか。
余談ですが、久保先生の下ネタ(的なもの)って妙に生々しいですね…。えぐさはないけれど。5巻に出てきた「女だって○起できる」とか今回の「処女の外泊の言い訳」とか。
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