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『風間公親 教場0』 第10話「指輪のレクイエム」 感想


概要

放送局:フジテレビ系列
放送日時:2023年6月12日(月曜日) 21時00分~21時54分

原作:長岡 弘樹
 『教場0 刑事指導官・風間公親』(小学館)
 『教場X 刑事指導官・風間公親』(小学館)

脚本:君塚 良一
音楽:佐藤 直紀
プロデュース:中江 功、渡辺 恒也、宋 ハナ
演出:中江 功
制作著作:フジテレビ

番組公式サイト リンク

感想

 開始早々ネタバレになりますが、「『漫然とした意味のない奇行』に見えていたものが実は『忘れられない愛情』から来ていたものだった」みたいなものに弱いです(他作品で言えば、『ジョジョの奇妙な冒険』第4部で虹村兄弟の父親がしていたこと)。
 今回は事件の被害者・仁谷清香(演:竹下景子)と中込の母・ふき(演:余貴美子)の二人のそれがポイントでした。指輪の場所を思い出すために(恐らくはその時の曜日と献立だった)「毎週水曜日にサワラのホイル焼きを作る」清香と、かつて息子が誘拐された時のことを忘れないために「毎週木曜日に繁華街に徘徊する」ふき。行動やその背景は違えど、そこには忘れたくても忘れられない、確かな"愛"があります。
 行動の意味(その裏に隠された愛情)に気づいたことで母に優しい言葉をかけられるようになった中込と、気づけなかったためにただ悪感情を募らせ、あまつさえそれを殺人に利用した継秀(演:岡田義徳)。悲しい話でもあり、中込も紙一重でこうなっていたかもしれないと思うと恐ろしい話でもあります。
 事件のさなか、かつて事件に巻き込まれた時の思いを言語化して外に吐き出したことで、自分の内心に気づいた中込。"気持ちの言語化"を覚えた、すなわち「感情(特に"犯罪への怒り")をコントロールできるようになった」ことで、刑事として一皮むけたのでした。

 その裏で、遠野が亡くなりました。スペシャルドラマ版の時点でこうなる運命ではあったんですけどね。そのキャラクターを掘り下げられた後でこうなると、悲しいとしか言いようがありません。
 遠野の容態が急変した時、事件を優先して病院に向かわなかった風間。病院に向かい、恐らく彼の最期を看取った伊上から責めるように胸をどつかれました。それをまっすぐ受け止めたのは風間の中にも「できることなら行ってやりたかった」という後悔の念「立場上、事件を優先せざるを得なかった」自分への恨みのようなものがあったからだと思われます。
 そして、次回はいよいよ最終回。遠野の仇でもある連続通り魔・十崎波瑠(演:森山未來)との直接対決だと思われます。彼に対してどう"逆襲"するのか。

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