本を選ぶということ

本を選ぶということはとても特殊だとおもいます。それは、面白いかどうか分からないものを買っているからだと思います。そういうものは日常にあまり多くはないと思います。仕事を選ぶというのは、一種それに近いかもしれませんし、生涯の伴侶を選ぶというのもそれに近いかもしれません。でも、やっぱりそれほど多くないと思います。例えば、おいしいお肉も、おいしいお酒も、楽しいディズニーランドもある意味、どれも約束された楽しさが自分をまっています。

何を言いたいかというと、本を買うということは不確定を買う、ということなのだと思います。将来の時間をその面白いかどうか分からないものに費やすことにする、ということだからです。だからこそ、本屋さんにいって、本を選ぶということの重要性が、ますます大事になってきています。本を選ぶことができるという能力は、その不確定な情報の中に、今の自分に役に立ちそうなものが潜んでいるということを感じ取る嗅覚と同じだと思います。平積みされて、大々的に売り出されていても、何かきな臭さを感じれば買わないだろうし、目立たない本だとしても、自分にはその背表紙が輝いて見える本というのがあります。だから、本を読むということと同時に、本を選ぶということが非常に重みを増してきます。

世の中は不確定です。インターネットの発達やグローバル化の進行により、世界にはますます情報が溢れるとともに、トレンドが画一化しています。そのような中で、独自の観点を磨き、自分の進むべき道を見定め、多様性にみちた人生を送るためには、強くなければいけません。情報に頼った判断では見誤ることがある世の中になってきていると感じます。そのような中で重要性を増してくるのは、自分の羅針盤を信じる能力であり、羅針盤の感度と耐久性を上げる努力です。それに最も役立つのが「本屋に行き、本を選ぶ」ということなのではないかと思います。それはすなわち、「なんとなく将来役に立ちそう」なものを集めておく能力だとおもいます。それはいつ役に立つかわかりません。役に立つかもわかりません。「本を読むことは役に立つことなのだ」と無理やり自分を納得させて、本を情報として取ろうとしている人とは全く違います。まず、「読む」こと、「選ぶ」こと自体が楽しいのです。楽しんだものはのちのちいい形で自分の身についているのです。決して頭には残っていません、忘れても体にしみこんでいる状態です。箸の持ち方と同じです。

本屋に行けばいろんな本があります。「情報」が形をとって、世界を作っています。その世界でどの本を手に取るか。表紙は情報の一側面です。中身は全く違う学びがあるかもしれません。その時に、決まったコーナーに行って決まったジャンルの本を買う人と、より世界を俯瞰的に見ようと本を選んでいる人とでは、本屋の見え方(世界の見え方)は全く違うのではないでしょうか。もし、決まったコーナーに行くのだとしても、是非、一度ざっと本屋さんに並んでる本を一目でいいから見てみてほしいと思います。そこには、本当に様々な世界が広がっていると思います。いつもの決まったコーナーに行く前に気になるタイトル、見つけませんでした?ぜひ手に取ってみてください。その本はあなたに見つけられるのを待っていたのだと思います。

本好きが熱くなりすぎました笑

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