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カレー嫌いな妹とカレー原理主義な私
カレーが嫌いな人がこの世の中にはいるのである。
カレー至上主義者の私としては信じられない。でもカレー嫌いは確実にいる。
私のかなり身近にも、カレー至上主義者を転覆しようとする存在がいた。
反カレー主義者首謀者は私の妹であった。
私の妹は小さい頃から口の中の感覚が過敏で、辛いもの、炭酸ジュース、ガムなどの刺激物が大の苦手であった。
反対に優しい味付けで出汁をとった、具が入っていないうどんやソーメンを好んでいた。
口の中の感覚というか味覚も過敏なので、お味噌汁の味噌や出汁を変えたこと、お米がいつもと違う銘柄になったことなど食事中によく言い当てていた。
母としては感心しつつも「めんどくさい娘だな」と感じていることもよく分かったが。
妹にとってはカレーはただの刺激物で食事とは言えないようであった。
でも、我が家では私の父と私がカレー好きということもあり、妹がカレー嫌いにも関わらずよくカレーが食卓にだされた。
その時に悲劇が起こるのである。
妹は絶対にカレーを食べない。
でもカレーの日は母は特に他のおかずを作ることはしない。
だから妹はただご飯を食べるしかないのである。
しかしご飯をそのまま食べるのは味気なさすぎるので妹も工夫する。
妹は納豆をご飯にかけて食べる。
これが誰の利益にもならない結果になるのである。
納豆とカレーはどちらも香りが高い。この二つの香りの相性がどう考えても最悪なのである。
私は納豆を毎日1パックは食べるほど好きだし、カレーも大好物メニューランキングでベスト3には入る。
しかし、この香りの高い2つの料理の相性は巨人ファンと阪神ファンくらいの関係性なのである。
我が家ではカレーの日にはカレーのスパイスと、納豆の発酵臭が混ざったなんともいえない臭いが漂う結果となる。
一部のカレー屋さんで「納豆カレー」なるものがメニューとしてあるようだが、それはカレーと納豆について相当精通かつ熟練している上級者のためのものだと私は理解している。
私くらいのレベルのカレーと納豆愛好者には、その良さが分からないような匂いなのである。
妹は味覚に敏感なので、それに近い嗅覚ももちろん強いセンスがあった。
だから妹もカレーと納豆の匂いの組み合わせは最悪だと分かっていたであろう。
それにも関わらず、妹は自分の嫌いなカレーを出す日に敢えて納豆をぶつける。
そうすることによって、私たち家族にカレーを食卓にだすことへの抗議の意を表していたように思う。
妹としては「そんなに私の嫌いなカレーを出すってことは、こっちにもやり方があるよ」というように。
成人してから、妹はタバコを吸い、お酒をかなり飲むようになり味覚や嗅覚に関する感覚がかなり衰えたようである。
大人になってから、妹からエスニック料理屋に行こうと誘われた時は衝撃的であった。
かなり刺激的な料理を食べる妹に「大丈夫?」と気遣ってしまうほどであった。
あの子どもの頃のまま、味覚や嗅覚が敏感に育てばソムリエや調香師や利き酒師になっていたのかなと思うことがある。
でも私としては妹とエスニック料理を一緒に食べながら、お酒を飲めるのは楽しいことなのでそれはそれでいいのであるが。
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