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しげちゃん

息子(4歳)はぬいぐるみが好きである。
「おきんぎょうさん(お人形さん)かわいい」と言ってたくさんのぬいぐるみを並べてよく遊んでいる。

娘(6歳)は小さい頃からほとんどぬいぐるみに関心をもたなかったので、同じ兄妹でも好みって違うんだなと不思議に感じている。

ただ私も小さい頃からぬいぐるみが好きで、4歳から6歳頃に撮ったであろう私の写真には、小さな私のそばに白い猫のぬいぐるみが写っていることが多い。

私のぬいぐるみ好きが、息子に遺伝したのかななんて思っている。

息子が特に現在お気に入りのぬいぐるみは、フシギダネ(ポケモンのキャラクター)と、オコジョ(白イタチ)である。

出かける時は必ずどちらかを持って行くと決めていて、外出先ではぬいぐるみを握りしめている。ぬいぐるみが一緒だとどこに行っても安心するようであり、息子にとっては、精神安定剤の役割を果たしているのかもしれない。

そんな中で、先日、とある音楽フェスに出かけた。都内の大きな公園で行われる都市型音楽フェスである。

娘が好きな「ヤバイTシャツ屋さん」が出るというし、私の好きなバンドもいくつか出演するというのでチケットを取ってみた。

そして私が好きなバンドの中でも、最近、注目されつつある「サバシスター」というグループをはじめて生で観るのを特に楽しみにこのフェスに出かけた。

この「サバシスター」というバンドについて私はあまり詳しくないものの、Spotifyで数曲聞いたことがあり、とてもいいなと思っていた。

女性のスリーピースバンド(ライブではサポートメンバーが入る)ということで、SHISHAMOが世の中に出始めた時を彷彿とさせるような勢いがあると私は勝手に思っている。

息子を肩車しつつ、先日のフェスで「サバシスター」が登場するステージに行ってみた。
息子はオコジョのぬいぐるみを持ちながらノリノリである。

うちの娘も息子も私の影響を受け、バンドが好きであり、特に根っからのお祭り好きである息子はフェスがすごく楽しいようである。

私も息子もこの日ははじめて生で聴く「サバシスター」に興奮気味であった。

やっぱりいいバンドだなと思って聴いていると、突然ボーカルの人が曲間に、私の息子が持っているぬいぐるみを話題にした。

このバンドのドラムの人は小さい頃から「しげちゃん」というプレイリードッグのぬいぐるみを大切にしているらしい。ドラムの人にとって家族のようなものだそうだ。そしてその「しげちゃん」を今はバンド全体で大切な仲間として扱っているようだ。

その「しげちゃん」への思いを形にした、文字通り「しげちゃん」という曲を紹介する場面で「そこの小さい子(私の息子)が持っているぬいぐるみのように、私たちにも大事にしている仲間(プレイリードッグのしげちゃん)がいて、その仲間に向けての曲を歌います」というようなことを「サバシスター」のボーカルの人が話したのだ。

私はそんな曲があることは知らなかったし、まさか私の息子のぬいぐるみが話題になるとも思いもしていなかったのでとても驚いた。

最初は驚いたが、でも「サバシスター」のボーカルの人が自分たちの気持ちと、息子がぬいぐるみを持つ様子を重ね合わせてくれてとても嬉しかった。

そんな状況下で聴く「しげちゃん」という曲はとても素敵で涙が溢れそうだった。

もともとすごくいい曲であることは間違いないが、息子のおかげで「しげちゃん」をより深く感動しつつ聴くことができた。

息子のぬいぐるみ好きのおかげでなかなかない、フェスでの思い出ができた。

息子が何歳までぬいぐるみが好きであるか分からないし、きっと大きくなったらこの日のことなんて覚えていないだろう。

でも私の心には、息子が大切そうにオコジョのぬいぐるみを抱きしめている姿と、「しげちゃん」という素晴らしい曲が心に刻まれた。

みなさんもぜひ「サバシスター」、聴いてみてください。

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