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Perfume【SONIC MANIA 2023 at MAKUHARI MESSE】

ステージに現れた3つのミラーボール。キラキラ舞い踊る3人につられるように、私はアリーナに響き渡るダンスミュージックを全身に浴びて、誰に見せるでもない下手くそなダンスを踊っていた!

高校生の頃にPerfumeを好きになってから、10年越しでの初ライブ。ライブにはずっと行けていなかったけれど、CDを買ったり、MVやライブ映像を画面越しで見続けてきた。ずっとずっと、憧れの人だった。

Perfumeはもはやアイドルではないという意見もある。私自身、そう思うときもある。最先端技術とのコラボや、洗練された高度な演出を成立させるダンススキル、あんな神がかったパフォーマンスを見てしまったら、他のアイドルと同じくくりで話すのも変か、という気もしてくる。

でも、3人のパフォーマンスからは、3人の努力や人柄が伝わってくる。自分たちの表現に真摯に向き合う3人の姿に、私は感動や元気をいつももらっている。私も頑張らなきゃ、頑張りたい!という気持ちになる。

そういう意味ではやっぱり、私にとってPerfumeはアイドルなんだと思う。

ライブが始まった瞬間「目の前にPerfumeが、いる~~~~~~~!!」と思っただけで号泣していた。

全身に銀色のスパンコールをあしらった、ギラッギラな衣装に身を包んで、ステージの光を一身に浴びたあ~ちゃん、かしゆか、のっち。会場に集まったお客さんたちの真ん中で、衣装をなびかせてキメッキメに踊る3人はとても眩しくて、まさにミラーボールだった。

1曲目は「ポリリズム」。アリーナで聴く「ポリリズム」は、低音が私の心臓までずんずん響いて、体全体で音を感じている感覚が心地よかった。正直、目の前にPerfumeがいるという事実と、こんなたくさんの人と一緒にPerfumeの音楽を聴けるという嬉しさだけでキャパオーバー気味。

待ってましたとばかりに、お客さんから歓声が上がり、そのまましばらく止まなかった。

2曲目の「FLASH」。カンフーの動きを取り入れたダンスが、めちゃくちゃかっこいい。間奏のハイキックだけは絶対に目に焼き付けたかったので、踊りたくなる気持ちを抑えつつ、ステージを食い入るように見つめた。

お客さんたちが手をあげて跳びはね、大歓声の中での「FLASH」は、3人の一振り一振りに、お客さんたちの熱が全部集約しているようで力強くて、とても鋭かった。

Perfumeのライブに初めて行って意外だったのが、お客さんたちの印象だ。ファンの方のSNSなどでの反応を見ていると、3人のダンスのちょっとした違いや変化、演出の意味合いなど、細かいところまでしっかり見ている。

それをすごいなと思うと同時に、静かにじっとステージを見つめる人が多いのかな、と勝手にイメージしていた。

「SONIC MANIA 2023」でのステージは全然そんなことなかった。みんなめちゃくちゃ全力で踊ってるし、手拍子もするし、叫ぶ。

フェスとワンマンではまた雰囲気が違うのかもしれないし、ファンの中でもいろいろな楽しみ方があるだろうから、一概には言えないけれど、私みたいに、ライブで感情を爆発させてしまう人間が行っても、白い目で見られることはなさそうだなと思って、ちょっと安心した。

3曲目「Spending all my time」。キャッチなメロディーと歌詞が印象的な、ライブでは定番のダンスチューン。今まで感じたことがないくらい、メロディーの良さをものすごく感じた。

タイトで無機質なビートに、細かい音がいっぱい鳴っていて、機械のようにカクカクした感じの振り付けが魅力。でもそれだけでなく、歌メロがめちゃくちゃいい。

細かく無機質なダンスを踊りながらも、表情や仕草でメロディーを表現しているのが分かった。それがとても美しかった。

4曲目は「ポリゴンウェイヴ」。2021年にリリースされた曲で、私にとっては「コロナ禍でライブに行けない!しんどい!」という日々を、確実に支えてくれていた曲のひとつ。

マスクとイヤホンをつけた電車の中で。自分の衣食住を見直しながらのステイホームの合間に。心の中だけはダンスフロアにしてくれた。ダンスをコピーしようと練習するまでもなく、無意識のうちにステップを踏んでしまう。

3曲目までは手拍子や縦ノリが多く、どちらかというと一体感が強く出ていたのだが、この「ポリゴンウェイヴ」以降、3人のダンスにつられて、どんどん自由奔放に体を動かせる雰囲気になっていった。

こうやってみんなで集まって、一緒に盛り上がれる。Perfumeに、楽しんでいる自分たちの姿を伝えられる。そのことがとても幸せだった。

5曲目は「アンドロイド&」。最新アルバム「Plasma」に収録されている曲で、今日のセットリストの中では知名度は低めの曲かもしれない。あ~ちゃんも曲の後「この曲知らんじゃろ。Plasmaっていうアルバムに入ってます。ぜひ聞いてください」と話していた。

CD音源で聴いていた限りでは、ちょっとクールで落ち着いた印象の曲だったのだけれど、この日のライブでは、もっと温度が高めの、切実な高揚感がある曲に感じた。

音響だけでこんなに曲の印象変わる?!!同じ曲だよね???いやまあ、目の前でPerfume踊ってるし、照明とか会場の雰囲気とか自分のテンションとかそういうのもあるだろうけど。いや、それにしても。

「アンドロイド 同じように見えるヒューマン よりよっぽど気が合うね
ヴァーチャルハート 機械じゃない Always ほらやさしいの」

アンドロイド(人間型ロボット)と、生身の人間との境目が薄くなった未来での、愛とか友情みたいなものを歌っているのかなと、私は勝手に解釈している。

ダンスにも、ロボットっぽいカクカクしたパートと、生身の人間らしいグルーヴや、躍動感を重視したパートが入り乱れている。

正確無比で人間離れした、シンクロ度の高いダンスも、しなやかで躍動感のある美しいダンスも、両方ともPerfumeの強みだ。そして、それを一つの曲の中でこれだけ踊り分ける表現力~~~~~!!

最新アルバムの中から「これが今のPerfumeです」と、名刺代わりに差し出すような曲としてぴったりだ。本当にかっこいいわ、Perfume。

と淡々と書いているが、ここまで5曲ノンストップである。公演前に生出演したラジオ番組で、本人たちも「生きて帰れるか」「爆裂セットリスト」と話していた。SONIC MANIAのクラブっぽい雰囲気に合わせて「ずっと音が鳴り続けた方がいいよね」ということでこの爆裂セットリストにしたとのこと。

ここで初めてMCを挟みつつ、水をがぶがぶ飲んで、凍ったタオルで冷やす3人の姿を見て「そりゃやばいよな、極限状態だよな」と改めて思う。

あ~ちゃんからは「みんなも水飲んでいいからね~」と言葉がかかる。お客さんへの気遣いとともに、お客さんに心配をかけないようにしているのが、声のトーンから伝わってくる。

あ~ちゃんは首に巻いたタオルをそのままに、最新曲「Moon」が始まった。「あとで映像で見たとき『なんか首に巻いてるけど首骨折したんかな』って思わんでね」とあ~ちゃん。

そして曲のサビで、満面の笑顔でそのタオルを外して放り投げる。ステージで起きること全てを見せ場に変えてしまうプロ根性というか。単純な見た目ではなく、魂を込めていライブをしているというか。あ~ちゃんらしくて大好きだ。

曲の配信開始の翌日、新曲をライブで見れるというタイムリー感に、テンションが上がっていたのは私だけではないはずだ。

私はSONIC MANIAに出かける当日、この曲に関する記事を書いた。

ひんやりと、クールな印象の始まりから、自然に曲の温度感と自分の体温が上がっていって、ラスサビでぶち上がる感じが「『夕方、地平線にぼんやりと浮かぶ白っぽい月』が『夜にぽっかり浮かぶまんまるの黄色い月』になる様子を描いているよう」だと感じていた。

ライブで聴いたらどんな感じなんだろう、と楽しみにしていたけれど、ここまでの爆裂セットリストで完全に上がりきっていたので、温度変化もなにもなく、曲の頭から終わりまで、踊りまくりだった。

7曲目の「だいじょばない」。すごい、まだ飛ばすんかPerfume。まだやるんか。すごいかわいい声で、歌詞の「だいじょうぶ?」「だいじょばない」をリフレインしてるけど。絶対にこの場で一番大丈夫じゃないのはPerfumeの3人なはず。

「大丈夫なのか大丈夫じゃないのか?大丈夫に決まってるじゃん!!最高!!楽しい!!最後まで全力で付いていきまっせ!!」という、脳筋思考になってくる。

そんな風に無我夢中になって楽しんでいても、結局こちらは運動不足のアラサーの体なので、ちょっとしんどくなってくる。そんなタイミングでちょうどよく「PTAのコーナー」。

Perfumeのライブでお決まりになっている、ちょっと長めのMCタイムだ。

いや、ちょうどいいのかな。「男子~!女子~!そうでない人~!メガネ~!コンタクト~!裸眼~!」とテンポよくコール&レスポンスが繰り広げられ、当てはまるところで全力で「イエーイ!」と返しているわけで。最終的に「みんな~!」を連発されて、むしろめちゃくちゃ体力を削られていてもおかしくないはずなのに。なんか癒されて、元気が湧いてくる。なるほど、これが「PTAのコーナー」の魔力……。

コール&レスポンスで、テンションMAXになったまま突っ込む「Party Maker」。ダンスナンバーというより、ライブナンバーという方が似合うかもしれない。曲のメッセージに合わせ、手を上にかざしたり、手拍子をしたり、フロアの一体感をさらに増していく。

鋭く突きあげてくるようなビートの中、アグレッシブな振付でありながらも、優美さやしなやかさを失わずに踊る3人が、めちゃくちゃかっこよかった。

それから、今からものすごい当たり前のことを言うが、実際に生で見て、3人の動きのキレがすごい。軸のぶれなさがすごい。そんなの今更のことだが、でもやっぱり生で見ると全然違う。

Perfumeのことを知っていても、ライブを見たことがない人がこの世に存在する限り、私にはこのことを改めて主張する権利があると思う。Perfumeのダンスは、生で見るともっとすごい。

そして最後の「チョコレイト・ディスコ」。イントロでの「チョコレイト!」「ディスコ!」というコール&レスポンス。

もちろん知っていたし、ずっと聴いてきた曲だったはずなのに、このライブで聴いてめちゃくちゃ大好きになった。

歌詞がいいし、ビートの変化はクセがないのにクセになるし、曲の展開はドラマティックなのに自然なのがすごいし、ラスサビのコード展開は鳥肌立つし、振り付けにストーリー性があるし、もうほんっとうにかわいいし。

手でCの形を作り、みんなで「ディスコ♪ディスコ♪」のリズムに合わせて前後に振る大団円。

そういえば、最初に3人がステージにいるのを見て号泣してから、どこで泣き止んだか記憶がない。PTAのコーナーはさすがに満面の笑みで見ていた記憶がある。そこまでは、Perfumeの尊さや、曲への個人的な思い入れで、泣いた瞬間の記憶が断片的に散らばっている。チョコレイト・ディスコの一体感も、「私にフェスが帰ってきた~!」という感動で泣いた気がする。

今までPerfumeのMVやライブ映像を見て、画面の前で泣いたことは数知れず。いつか生で見たら絶対泣くだろうと思っていたけれど、まさかこんなずっと号泣しながら爆踊りするとは思わなかった。

「爆裂セットリスト」を私たちは全力で楽しんだ。満足感と爽やかな疲労感で、一時的に「もういいよ……十分楽しんだよ……もう帰ろうよ……余裕で終電あるし……」となって、一緒に行った友達に軽くキレられた。

ワンマンに行けばまた、演出も選曲も雰囲気も、全く違うのだろう。ワンマンも行きたいよなあ~~と思うと同時に、私はフェスのPerfumeがずっと好きだろうなと思う。この日のPerfumeのことを、きっと忘れられないだろう。


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