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【20180728-29】今週のよかったこと

殺人的猛暑が続いた週はこの日記はお休みとします。暑いから。

ところで、週末に宝塚を見る予定が入っている週ほど仕事の辛さが屁でもない週はありませんね。O・お美しい舞台を見ると元気になるL・レディ略してOLです。
今週は宝塚を見てまいりました。
見てきたのはこれ


かんぽ生命 ドリームシアター
ミュージカル・プレイ
『凱旋門』-エリッヒ・マリア・レマルクの小説による-
脚本/柴田 侑宏 演出・振付/謝 珠栄
祖国を追われた亡命者たちが集う、第二次世界大戦前夜のパリ。ドイツから亡命してきた外科医ラヴィックは、友人ボリスに助けられながら、あてどなく仇敵を捜すだけの失意の日々の中で鮮烈な恋を見出す……。ラヴィックにとって生きる希望となるジョアンとの恋を軸に、過酷な運命に翻弄されながらも懸命に生きる人々の姿を、シャンソンをモチーフにした音楽を絡めて描き上げた作品。2000年に雪組で初演、主演を務めた轟悠が文化庁芸術祭賞演劇部門優秀賞を受賞するなど、絶賛を博した傑作ミュージカルの待望の再演となる。
かんぽ生命 ドリームシアター
ショー・パッショナブル
『Gato Bonito!!』~ガート・ボニート、美しい猫のような男~
作・演出/藤井 大介
ポルトガル語で“美しい猫”を意味する“Gato Bonito”。クールで気まぐれな性質、気品溢れるしなやかな身のこなしなど、猫からイメージされる姿を望海風斗率いる個性豊かな雪組生達に重ね合わせ、バラエティ豊かな場面で構成する華やかでドラマティックなラテン・ショー。宝塚歌劇ならではの、ゴージャスで熱い夢の世界をお楽しみ下さい。

久しぶりの雪組が嬉しいのもそうなんだけど、久しぶりの柴田先生脚本も飛び上るほど嬉しかったです。柴田先生のお書きになる日本語が耳に入ってくるとよい心地になります。

お友達にOLさん絶対凱旋門好きだと思うよ、と言われていたのでわくわくしていたのもあった。こういう群像劇とっても好きです。

といいつつ、あまりに予習をしておらずストーリーの顛末を良く知らなかったので、途中までシュナイダーとラヴィックの復讐劇の果てにブローニュの森でラヴィックが無理心中を図る物語なのだ、と勝手に興奮していました。

身分も帰る場所もなくした、存在の不確かな男が唯一焦がれてやまない復讐の対象を車に乗せていよいよ本懐を遂げるんだ、それが自分の死につながろうともかまわないんだ、と思って、客席で「ウッヒョーそういう男の話大好きもっとして!!!!!!!!」って思ってたんですけどそうじゃなかったですね。私は落ち着いて。(車を走らせているラヴィックに「銃は使うな」ってボリスの声がオーバーしてきたら、アッなるほど車で崖から落ちて心中を図るのかなって思わない?スパナで撲殺だとは……)

仇敵シュナイダーを自分の人生から退場させたところで、ラヴィックの身の上ががらりと変わるわけではなく、彼の亡命生活の霧は晴れないところが物語の切ないところで、依然として閉塞感が付きまとうラヴィックの、轟悠さまの――物言わぬはずの彫刻が憂いの感情を覚えたような――横顔が目に焼き付いて離れない。戦争はすぐそこまで来ており、ラヴィックの生き方は好いた女性を幸せにすることができない。
二兎を追えないラヴィックとジョアンの顛末はファンの方がご存じの通り、ジョアンは理不尽に亡くなり、ラヴィックや賢明に生きようとしていた亡命者たちはトラックに載せられ収容所へと向かう。ラヴィックの目に証人の凱旋門は見えないまま。

そう、生の謳歌を無邪気に追い求める女性ジョアンを演じた、真彩さんの登場シーンがとても印象的でした。夢遊病患者のようにも、糸がふっつり切れた人形のようにもみえるうつろな目をしていて、ふらふらと出てくるきいちゃんの得体の知れなさ、またその魅力はこの登場シーンから観客の昂揚と不安を煽ってくるようだった。
その一方で、ころころと笑い、感情を臆さず伝える彼女の表情のかわいらしいこと!そんな彼女が「あなたにはふさわしくない女ね」なんてラヴィックに言うたび、ラヴィックがいてもいなくてもあなたって最高よって思ってた。

前作のひかりふる路では、主演のだいもんこと望海さんと真彩さんの圧倒的な歌の表現力にひれ伏す体験をしていたんだけど、今回は雪組全体の合唱の力強さに気圧されるシーンがたくさんあったのに感動しました。舞台上のすべてのものに圧倒される感覚を味わえるのは観劇体験のなかで本当に嬉しいことです。


これは今回の公演デザートです。パララバニラバナナ……。

ショーも楽しかったです!蘭の露が二人溶けあわさなかった平行世界の猫版CONGA!!って感じで、にゃーにゃーいっててかわいかった。にゃーがありならワンもありだろうから(?)今度は犬版CONGA!!出てしまうかもしれないけど、さすがにそれは大介先生、それCONGA!!じゃありませんか?って言われてしまうかもしれない。


ところで以下の感想はnot for meだった感想です。

こんなこと言っては元も子もないし、観客という外部の、それも2018年の舞台を見た視線からの意見でしかないのは重々承知しているんですが、ラヴィックがブローニュの森でシュナイダー諸共自分の死で復讐劇を完結させていたら、ジョアンの人生は変わっていただろうなと思わずにはいられなかったです。たぶん、ラヴィックのことが忘れられずに苦しい思いをするにせよ、自分のしたい仕事をして、したい暮らしをし、好きなものに囲まれ、生活が変わったことにいちゃもんをつける男にすがることもなく、激情に駆られた男に撃たれて死んでしまうことはなかったんじゃないかしら、と思ってしまうのです。(我ながら暴論だとは思っていて、突き詰めればジョアンを傷つけるくらいならラヴィックはシュナイダーと心中してしまったほうがよかったという感想なんだよね……)

無邪気に好きなように暮らすことを求めるジョアンは、切られの与三のお富さんのように、芸があり収入を得て暮らしをしていくこともできるけど男の人の庇護のもとにないと舞台上にいられないものとして書かれている。
もしかしたらジョアン自身が男の人のいない(ラヴィックのような愛する人の居ない)人生を望まないかもしれない。それにしたって、そういう人がいてもいなくても、「あなたが働いて借りた部屋って最高、あなたって最高だよジョアン」って言ってあげる誰かがいたってよかったじゃないの……って思ってしまう。ジョアンに友達か、誰かそういうことをぽつりと言うような存在がいてくれたらよかった。だってラヴィックはジョアンの生活の事をつまらない感情で否定するんだもの(一緒に見に行った友達もこの点に言及していた)。

ジョアンが幸せになることってできなかったのかな……と勝手な感想を思わずにはいられなかった。

そうそう友達と言うと、いつも大体一人で観劇することが多いO・おひとりさまL・レディ略してOL、縁あって今回は大学時代のお友達とそのお友達の方と宝塚を見る機会にめぐまれました。ずいぶん久しぶりに友達に会えるというのはそれだけでも嬉しいものですが、知らない人とお近づきに慣れることも喜ばしいことだなあとしみじみ思いました。

なんと来月もこの公演を見るので、また違った感想が出てくるんじゃないかなとも思うのでわくわくしています。

行ったところ:
東京宝塚劇場
https://kageki.hankyu.co.jp/theater/tokyo/index.html
東京宝塚劇場の建物はシンゴジラと同じくらいの高さって聞いたことあるんだけどあれほんとうなのかしら




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