「FAR.2021(2)」を読む
毎度お馴染みForeign Affairs Reportからご紹介です。
徐々にCOVID-19の話題は少なくなりつつあり、トランプ後の米国の動向が主になりつつあります。
とはいえ、やはり仕事柄気になるのは感染症絡みのことですから、こちらをみていくことにしましょう。
今月は、「次のパンデミックに備えよーーグローバルな対応をいかに整備するか」というジョンズ・ホプキンス大学の先生が書かれた1編だけ掲載されていました。
まず、はっきり言いましょう。
もう今さら「ワクチンを打つ」とか「打たない」とか議論している国なんてほとんどないことが、この論文からも容易に想像できます。
多くの人が注目しているテーマは、もう次のフェーズに移っています。
すなわち、次のパンデミックにいかに備えるか、です。
私なりのまとめをご覧ください。
1.過去を振り返る
今回のパンデミックの前に起こった大規模なパンデミックは、
1918年のインフルエンザ・パンデミックです。
このときは世界人口の3分1が感染し、5,000万人が死亡しています。
世界の交通事情は大きく発達しており、パンデミックの危機はこれからも
続いていくでしょう。
2.今回のパンデミックを振り返る
今回、中国からの情報が不十分だったこと、WHOの判断が問題視されたこと、などは記憶に新しいです。
上記のことを擁護するつもりではないですが、しかしながら「積極的に問題を報告したことで旅行制限をWHOから提言されてしまうのであれば、報告しないほうが国としては有利」というジレンマが残っています。
WHOの苦渋の決断として、「旅行制限をかける」よりも「情報を提供してもらう」ことを優先したと考えれば致し方ない判断だったのでしょう。
また、旅行制限をかけたことによって必要な物資が届かなくなる問題も残っています。
3.未来に向けて考える
問題は山積しています。
1.IHRに実質的強制力がない問題
2.上記のような情報提供と旅行制限のジレンマ
3.ウィルスサンプル共有のための備え(WHO)
※ 3.については、牧野友彦:安全保障と衡平性の対立 ―「公衆衛生上の脅威」における病原体の所有権と強制実施権との関係性―;特許研究 PATENT STUDIES 59,32-42,2015-3. が参考になる
4.参考となるWebSiteなど
1.Global Health Security Index
https://www.ghsindex.org/
2.WHO "CORE COMPETENCIES FOR INFECTION PREVENTION AND CONTROL PROFESSIONALS"
雑駁としていますが、今月はこのような内容でした。
他にもポストトランプの問題や、自由主義と権威主義の対立など面白いテーマがたくさん載っていますので、ご興味が有る方は是非。
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