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イベントレポ: ほんやくチーム(物理)の真面目な話を聞いたログ

4月9日、noteを運営するピースオブケイク社が開いた「定期購読マガジンの実践講座」の記念すべき1回目の講師として、ダイハードテイルズのお二人(杉=サン、本兌=サン)が登壇してましたので、行ってきました。

ところでお前誰?

「定期購読マガジンを実践しよう」とか全く思っていないニンジャヘッズです。
と、イベントのターゲットとは関係ない旨を備考に書いて応募したのに通ってしまいました。

スパ帝=サンが朗読をしていた頃(つまり2012年)からのニンジャヘッズで、当時は学生でしたが、最近は「俺は俺でしがないサラリマンとして、胸を張ってメイクマネー&ラヴファミリーしつつ、平安貴族歌人みたいに瞬発的に気の利いたことを言おう」という立場です。

いた人

自分含めて参加者は20人~30人くらい。専業のクリエイターは1名ほど。自分のいたテーブルのお二人も、まだメイクマネーへの道は遠そうに感じているようでした。

開始ギリギリで来たからか、司会の遠山さんと、もう一方、定期購読マガジンを頑張ってる感じの女性が聞き手としていらっしゃいましたが、ちょっとプロフィールが分からず。タイヘンなシツレイ…。どなたか知ってたら教えてください。

【追記】聞き手の女性が遠山さん、司会がnoteの玉置さんだったようです。申し訳ない。

流れ

ほんチのお二人のレポがすでにありますが、大体書いてらっしゃるような話がありました。

講義→質疑→聞き手の女性からほんチの公開相談会→懇親会といった流れ。

挨拶もそこそこにほんやくチームと思われる成人男性2名が現れました。過去も2回ほど物理身体は見たことがありますが、相変わらず精巧な作りで、2年前と一貫した特徴を有していました。

杉=サンは外資系IT企業で勤めてそうな感じの垢抜けたファッション。会場も港区ですからね。本兌=サンは下北沢のカルチャーっぽい印象で、どちらもサイバーサングラスはしていませんでした。今日はファンイベントじゃないので、TPOですね。してるのはまだ見たことがないです。

参考資料としては「きょ無」の記事が配られていました。懐かしかったです。名作です。

http://ninjaheads.hatenablog.jp/entry/2016/01/04/235024

内容で印象に残っていること

羅列します。

定期購読マガジンをやるべきなのか、よくよく考えよう」という「実践講座」以前のアドバイスが何度も出ました。

そのコンテンツを10年続けられるか」と問われた時に、「10年後も続けてそうなことって言われると、呼吸とかファミリーや友人との関係ぐらいな気がするな」と思いました。実際「10年先の自分のサステナビリティ」を信じられる日本人は、どれほどいるのでしょうか。無理では?
 と、思ったものの、この「続けられるか」というのは、そういう人生100年時代の展望を描けみたいな意味ではなく、「続けている自分を想像した時に、『まぁ今生はそれでも悪くないかな』と思えるかどうか」ぐらいなのではないか、とか思いました。

プロジェクトがグダらないかを確かめる「SMARTフレームワーク」は忘れてましたが、仕事に役立つなと思いました。

こういう定期購読数値について「アナリティクスとか、他のモデルは全く役に立たない」って言ってたのが印象的で、マーケター(弱)としての仕事実感としても、「そりゃそうだよな」って感じです。でも費用対効果とか言われちゃうんで、新しいことをほそぼそ長々やるのは難しい……、採算の取れない営みを続けられることこそ個人の強みって話はなるほどでした。

ロヅメイグの夜、ペイルホース、ザヴイビの公開は、専業化した際にお金を出してくれる熱心なファンがどのくらいいるのか、反響を確かめる意味もあったとか。(ロヅメイグの夜みたいな「習作」が予想以上に売れたのは自信になったとか)(ザヴイビの続編、僕は読みたいです

「あなたには熱心なファンが何人いるか」を「目標金額(無理せず続けられるサステナブルな収入)」で割った額が「マガジンの販売価格」だ、という話はシンプルでありながら、「熱心なファンってなんだよ」という絶望を聴衆に与えるところもあるよな、と思いました。

「最初に2倍の値段を付けるか、後からファンを2倍にするか。ファンを2倍にするのは超大変」といった話と、3年前に比べても「ネットの情報に値札をつけること」への忌避感は世間から大分減っている的な話。「検索して悪口たくさん見つけた」とかも言ってました。やっぱエゴサしますよね。

「前の反響を越えなきゃ的なプレッシャーにあらがって、コンスタントに公開し続けろ」とか「作者の"無理"(過剰サービスとか)は、どこかでネガティブを生み、読者に伝わる」といった教訓は、仕事での上司とかチームとのやり取りとか、そういう日々の自分を振り返って見ても「だよね」って思ったりしました。"サステナビリティ重点"がリフ。

何かに依存するのは古いしダサい」ってスタンスから、「アフィ広告だと結局広告会社に依存するから撤収(小説カテゴリは単価が安いし)」「Kindle UnlimitedはAmazonの手のひらの上だからNO」みたいな判断してるの、エゴがあっていいな、と思いました。

もっと聞いてみたかったこと

有志がTogetterにまとめたり、充実したWikiを更新したり、ファンが新規読者を巻き込む動きをしていたことなど、ニンジャスレイヤーは初期からファンが強く、支えていた側面は大きそうだったけど、どこまで2010~13年くらいの時に意識的に設計していたのかは聞いてみたかった。

自分が「熱心なファンだ」と思っているコンテンツには、忍殺、プロ野球、筋肉少女帯、Fateなどがあるものの、接触時間と拠出金額の比率は全然違う気がするし、財布の紐の緩み方も違うので、そのへんの不思議は聞いてみたかった(まだ曖昧)

【独り言】「定期購読マガジンを売ること」とは「生き方を信頼されること」なのでは?

全く定期購読マガジンを売り出そうとは思っていない自分なりに、「定期購読マガジンを売るために必要なこと」というのを考えてみたところ、それは「信頼」な気がした。

DHTLSのマガジンを2冊とも買っている自分は、ほんチが「目先の金とか、惰性とかで判断を鈍らせて、何かに日和るようなダサいことはしない」みたいな信頼を、少なくとも持っている…。僕だけかもしれんけど…。

ただスタンスを貫くには力が要る。「ダサいよな」って美意識だけじゃ勝てないのが現実。リアルマネーとか、体力とか、健康な思考習慣とか、カラテとか。

が、巨大な圧力に対して美学とか信念を保たしうるのは、そういう本人に帰属するものだけではない。一度は「ダサい」生き方を余儀なくされていたスーサイドも、彼のあり方への「信頼」が、最後にはシンウインターを殺す大波を起こして勝った。石野卓球が瀧のスネを蹴りながら『世間』に中指を立て続けられるのも、ケンタウルスとかからの「信頼」あってなのだろう。

「個人クリエイターの定期購読マガジンを買う」ってのは、「俺がリスペクトできるお前は、これからも良いものを出してくれる」っていう「信頼の証」だ。「お前の仕事、お前の意思、お前の知識、信頼している」ってのと直接的に繋がっている。杉=サンがさっき人間としての総合力だって書いてたけど、それを読む前に僕はこれを書いてるので孫引きではない。

「小まめなアウトプットでファンに応える(※最近だとスレイト)」とか、「ファンコミュニティでの振る舞いや態度を示す(※ボブ)」とか、ほんチの言ってたアドバイスは、「信頼されるリーダー」みたいな姿とも重なる。その辺りのスタンスは、ニンジャスレイヤーという作品が称揚する「カラテ」や「エゴ」といった価値と地続きになっていて、その向こうには作者が持つミームの源流も見えている。(※逆噴射映画祭、ミーミー探検隊)

ダイハードテイルズが「成功」している(偶然以外の)理由があるとしたら、

・自分たちの愛した強い作品が持つエッセンス、価値、文脈を飲み込んで言葉にできていること
・作品以外の「表現」(ビジネスモデル、SNS発信、映画好き、新技術活用なども表現だ)に一貫性があり、信頼されていること

みたいな所があって、多分それは「定期購読マガジンを買ってもらう」という形じゃなくて、「家族から愛されて死ぬ」とか「同僚から惜しまれながら転職する」みたいなことのためにも、必要なものなのかもしれない。

こういう「信頼という畑からの収穫で生きていく人」というのはもっと増えていくのだろう。その中では、「人が人を信頼するとはどういうことなのか」を知っている人、"物語"をたくさん知っている、感受性の鋭い人は、何か昔の『特定時間に物理座標を特定位置につけること』が評価されていた工業社会に比べて生きやすくなっていくのかもしれない。

まぁ文弱の自分としてはそうであってほしいけど、自分がパイオニアしていく感じでも直近無いので、その道を切り開いている人の背中を押せるようではありたいし、サステナビリティ高めて信頼されようと思いました。

まとめ

記念日の約束があり、質疑応答まで見られず中座することになりましたが、とりあえずほんチは順調にサヴァイヴしているようで、宮崎駿=サンじゃないですが、「Life is worth Living(この世は生きるに値する)」と思ったりしました。

自分には何人か「この人が報われる世界であってほしいし、この人が受け容れられてるなら世界はそう悪くない」と思っているカタオキのフクスケ(※)みたいなものがありますが、ダイハードテイルズの皆さんは平沢進、大槻ケンヂ辺りと並んでそういう楔なので、これからも我が世界秩序のため、引き続き抜け目なく健康にクリエイションしてほしいです。

(※編注: ニンジャスレイヤーの名サイドキックであるシルバーキー、本名カタオキは他人の精神世界にダイヴする力があるが、よく現実か夢か曖昧になるので、現実に戻ると部屋の「フクスケ」を確認している)

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