閃光ばなし感想②

輪廻転生というのはただ生まれ変わっているわけじゃないんです。(中略)だから私は結婚式の時を思い出すたびに恥ずかしい思いを新しい気持ちで感じているんです。(意訳)

これは是政と婚約者のよしのさんが二人でボクシング対決する前のやり取りの中のセリフのひとつ。

是政とよしのさんは婚約者で結婚式までたどり着いたのに、是政が結婚式に来なくてもう今はわかれてて元婚約者。

よしのは是政と話したときに、その当時の事を思い出すたびに恥ずかしい気持ちになるといって責めた。

今日の最初に打ったセリフ、とってもわかる。と観劇中にとても深くうなずいていた。誰も覚えてないだろうなってことを思い出しては改めて耳が熱くなって隠れたくなり、覚えていないだろうけど、できる事ならみんなの記憶を塗りつぶしたいと思う気持ちでいっぱいになる出来事がある。

例えば15年位前だけど、小学生の時に給食でブロッコリーお代わりしすぎて笑われた話とか、水鉄砲の先端を顎にくっつけたまま吸引して顎に丸く水鉄砲型のあおたん作ってたこととか、思い出すたびになんであんなことしたんだろうと、身もだえして新鮮に恥ずかしく思っている。

よしのの場合、寺のお嬢様の結婚式となれば身内、親戚、寺の関係者、友人、たくさん来ただろう。幸せ絶頂でもう無敵モードだったのだと想像する。そんな中、新郎がこない。大恥だよね。

集まってくれた人に「今日は新郎、来ないみたい。。」なんて、土壇場で捨てられた女じゃん。絶対私だったらいや。そりゃ、何度も恥ずかしく思うよね。

さて。
昭和の時代、寺の娘と是政の結婚は果たしてみんながみんな賛成したのだろうか。婿って一般的ではなかっただろうし、職業差別とか育ちの差別とかそんなつもりはないけれど、きっと寺サイドでは是政を婿に迎える事への反対意見もあったのかなと想像する。

それを押し切って結婚すると決めた挙句、是政は結婚式に来なかった。

いろんなこと言われたんじゃないかな、とか考えたりもした。あんな男。顔がいいだけじゃん。とか、だから反対だったのよ。とか。

好きな人に振られるって結構ダメージあるし、その好きな人の悪口言われるのもダメージ受けるし、恥ずかしいオモイさせてくれた是政への怒りとかもあるし、プライドが気づつけられたり、よしのさん、ぐちゃぐちゃになったのかな、とか思ったり。

どっちが言い寄ったのかも結構気になる。

川から打ち上げられた是政が政子に、ちょっと寄り道していくか。といって寺に行ったとき、政子は、ここにいるの見つかったらまずいんじゃない?っていう。

もうわだかまり解けてたらそんなこと言わないだろうから、結婚式行ってないまま、あってないのかなとか思ったり。

まあお嬢様の立場からしたら接近禁止令くらい簡単に出せるだろうし、それでプライドが満たされるところもあったのかなとか考えたり。

そして、是政を見つけたお嬢様は、あら珍しいい人がいる、といい、よく結婚式に来なかったのに顔が出せる。なんて言われていたし、やっぱりあってなかったのかなって。
その時の是政はもじもじした、ちょっと照れたそぶりがあって、まだお嬢様に未練があるのかな、とか思ったりもした。

2人がどのくらいの感じでお付き合いしていたのかわからないけれど、付き合ってるときも是政はどん詰まりを優先したり、政子を優先したりした彼氏だったんじゃないかなって思った。

よしのは何を思って是政と付き合っていたんだろう、、破天荒な自由な生き方が寺の跡取り娘な自分にはなくて輝いて見えたのか、単純に顔か、、年の合う未婚男性が是政だったからなのか、、是政って正直結婚相手としてみるとなると結構欠陥品な気がするんだけど、、笑

もう一つ、是政とよしのの話で観劇しながら感じたことがあって。

みんなが土方になって橋を作っている時に、是政がバイクとひもで壊そうとした夜、よしのがバイクで逃がしてくれた。

よしのは、困っていることはない?と聞いて
是政は、そしたら借金の返済を待ってくれないかな、
という。
それは寺のお金だからできなくて、、あの時結婚してくれていたらあなたのお金だったんだけど、、
だからそれは御免、、

ってやり取りを3~4回して、結婚式逃げられて輪廻転生のように何度も恥ずかしい思いをしていると責められてるのもその時だけど、

同じシーンでよしのに誰か頼れる人はいるの?と聞かれたときに是政はいないと答え、よしのに、じゃあ私を頼って?といわれるけど、是政は、君に頼るなんてできないよ、、と弱々しい感じでいうんだよね。

状況としては、野田なかに騙されて多額の借金を負って、借金返せなくて、どん詰まりのみんなは野田中に雇われて橋作ってて、誰も頼れない状況。

君を頼れないといいつつ、是政は、

助けてください、お願いします

と頭を下げる。

その後、あなたにまとわりついていたのは助けたいからじゃなくて、気持ちを切るために決別したくて近くにいたのごめんなさいとかよしのに言われる。

ようは、是政が弱ってるときに前に結婚式逃げられた憂さ晴らししてやりたかったってことなんだけど、そのあとすぐに練習に練習を重ねたお嬢様のボクシングのパンチをたくさん浴びることになる是政。

切ない。。

たぶん少しくらい未練が残ってるかつての彼女に、頼る人のいない、めちゃくちゃ弱ってるタイミングで、じつは味方じゃないとか言われた挙句ちからでねじ伏せられるの切なすぎる。

そしてお嬢様、体3発なのに、かお17発も殴ってるのさすがに恨み募りすぎて笑った。確かにむかつくやつの顔は殴りたい。笑

そのタイミングで是政は、結婚式に行かないつもりはなかったんだ、、二日後に遅れていったんだ、、みんなが電柱なくて困ってたから、、て言い訳する是政がいたから、結婚式後あってない説はここでも結構補強される気がしていて。しかもお嬢様は、聞きました。っていうから、伝聞だよなあ、と思うと、直接は会ってなくて、仕返しのタイミングをはかっていて、いい時に是政が寄り道がてら寺に立ち寄ったからチャンスと思って絡んでたんだろうなあと。

さらに切ないのは、ボクシング後よれよれの是政を迎えに来た政子が、どん詰まり帰ろうとか言うけど、橋壊そうとした手前帰れない、、ってうじうじしたら、誘ってないよ。ってヘルメット奪って是政置いて帰っちゃって。

目に入れてもいたくないほどかわいがっている妹に、元カノにこっぴどくされた後に捨てられるのが切なすぎてみてられなかった。

誰も味方いないじゃんて。

確かそのあと、たいへんだーーーって裁判の話につながるのかな、かこさんが迎えに来てくれててよかった、って思った。

是政を安田君がやっているし、、主役だからなんか肩入れしちゃうけど、結構これに関してはよしのさんの気持ちがわかるというか、とりあえず、何回も新鮮に恥ずかしい気持ちになっているのは共感の嵐だった。


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