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中島のパンデイロ

中島は凄まじい集中力で考えていた。

集中し過ぎていたせいで道端の虎にも気が付かなかった。

虎を踏んだことにも気が付かなかった。

虎が中島の足に咬みついたことにも気が付かなかった。

右足の膝から下が完全に食いちぎられた頃、中島は鞄からパンデイロを取り出した。そして完全に斬新なリズムでパンデイロを叩いた。

虎は中島の両足を丸々食いちぎると、満たされたのか、どこかへ行ってしまった。

中島は完全に斬新なリズムでパンデイロを叩き続けた。そしてこの完全に斬新なリズムを完成させると、満足げに「これだ」と呟いた。

数分後に中島が出血多量で息絶えると、ハイエナがその屍骸を食い散らかして去っていった。

遠くの家では誰かが全く斬新なリズムでパンデイロを叩いていた。

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