フレミング氏の喧騒
「ミスター・フレミング!」
通りの向こうからそう叫ぶ声が聞こえた。フレミング氏は声のしたほうに目をやり、知った顔を探した。
ほぼ同時に、近くにいた別のフレミング氏も振り返った。
さらに第三のフレミング氏も顔を上げて周囲を見回した。
三人のフレミング氏が声の主を探していると、細路地から現れた別のフレミング氏が「私を呼んだのは誰ですか?」と言った。
そのときマンホールから、水道管が破裂したように大量のフレミング氏が噴出した。
ビルの屋上からは次々とフレミング氏が飛び降りた。
現場は騒然となった。
しばらくすると警官が駆けつけた。警官のフレミング氏はその場にいた年配のフレミング氏に事情を聞いた。しかし年配のフレミング氏は混乱しているのか、支離滅裂な言葉を並べ立てるばかりだ。
私はその様子を眺めながら中央駅へ急いだ。
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