デザインリサーチの教科書(木浦幹雄 著)
昨年初めて「デザインリサーチ」という言葉と、アンカーデザインや木浦さんのことを知り、それ以来興味深いなーとフォローしていたが、11月に著書が出たので、早速読んでみました。
この大きさ、分厚さ、になかなか読むのは苦労したが、
具体的なデザインリサーチの工程や運用が本当に教科書のように紹介されていて、やってみたくなる。
読書感想
「何を作るか?」を決定するときに必要な
①仮説
②その仮説に対する検証結果
という2つの情報提供をできることがデザインリサーチには期待される、とのこと。
プロジェクトに取組む際には
何のためのプロジェクトか?
結果達成したいこと(アウトカム)は何か?
を明確にすべき。
著者のデザインファームのデザインリサーチ現場を拝見してみたいなーと思ってます。
後日著書ウェビナーを受講して
まずデザインとは何か?
未だ存在しない概念を具体化。
人々にとっての価値を見つけ、意味のあるプロダクトを創ること
一方デザインリサーチとは何か?
プロダクトをデザインするためのリサーチ
Design Research →Design
問題設定(Problem Setting) →問題解決(Problem Solving)
Design Research
=Do the Right Things
デザインリサーチが活躍するフェーズ
テーマ探索と商品企画
iPod = コンセプト = 1,000 songs in your pocket.
適切な問いを立てることが重要
何が出てくるか、はこれによって左右される。結果をも左右する
例)
お題:よい階段をデザインする
一つのソリューション:エスカレーター(階段の見た目は大体一緒だけど、電気で自動で人を運んでくれる)
問いを変えることによってどんなソリューションが出てくるか・が変わってくる
↓
お題:他のフロアへ移動する方法をデザインする
一つのソリューション:エレベーター(行きたいフロアを選べば運んでくれる)、滑り棒(消防署で使われていた)
答えを小さくしてしまうとある限定された範囲でしか出てこない。適切な範囲で問いを考えることが重要。
花瓶のデザインを求めると、様々なデザインの花瓶を提案してくれるでしょう。
もし花とか植物を楽しむ方法をデザインしなさい、と求めたら、全く違う提案がされるでしょう。
●デザインリサーチに注目が集まる理由
❶デザイン領域の拡大
これまでプロダクトデザインの対象とされていなかった様々な領域におけるデザインが重要視されるようになると同時に、
世界規模で影響力を持つようになった
❷プロダクトの複雑化
プロダクトの影響力が高まりデザイナーの社会的責任も大きく。適切なプロダクトをデザインするためには多くの専門家をプロジェクトに巻き込む必要がある。特にデジタル分野ではプロダクト開発のためのコストも大きくなり続けている。
❸新しいビジネス機会
消費者のライフスタイルの多様化や新しい体験への期待から、ビジネス機会の広まり。チャンスが存在。
❹曖昧な不確実な未来
VUCA。予測は困難。新規プレイヤーの参入が容易になったことによる市場の競争環境は激化の一途。
プロダクト開発をデザインリサーチで推進
機会を適切に見つけ
多くの人を巻き込み
仮説検証(プロトタイピング)
人々を理解する=最初の出発点
解くべき問いを定める
(どう働き、遊び、生活しているかを理解し、そこからインスピレーションを得ることで)
アプローチを検討する=アイディエーション
立てた問いに対してどのようなアプローチが適切かを検討
プロトタイミング=仮説検証
解くべき問いがそもそも正しいのか、検討しているアプローチが適切かを検討
Repeat!=一番大事
リサーチとプロトタイピングを繰り返しながらブラッシュアップし続ける
●マインドセット
Life - Centred Design
一人一人の人間を中心として捉えるのではなく、プロダクトによって影響を受ける社会における様々な要素を念頭に置くことが重要。それには自然や動物なども当然含まれる。プロダクトをつくる時に、あるいは使うときに、どういうことが起こり得るか。
Product as Systems
プロダクトを単体のモノではなくシステムとして捉える。それはどのようにお客さんの手に渡り、その価値を最大限に引き出す仕組みがあろうだろうか。プロダクトによっては一方通行の価値提供ではなくお客さんと一緒にプロダクトの価値を生み出す必要もある。
Design with People
一人のスーパーデザイナーに全てを任せるのではなく、様々なプロジェクトを巻き込み、みんなで一緒にプロダクトをデザインする必要がある。その時デザイナーはファシリテーターとしての働きを求められるようになるだろう。
People 2 People
B2BやB2Cなど様々なビジネス形態があるが、どのようなビジネスも必ず人によって支えられ、提供されている。
人々がどのような課題や要望を持っているか、そして彼らにとっての美しい体験を提供することこそが、これからのビジネスを支える根幹となる。
お客さんのみならず、接客側、運営側にとっても良い体験になっているかどうか。そうでないと持続可能ではない。
例えばコールセンター)人がどんどん辞めてしまう。精神的負担。採用、トレーニングにお金ばかりかかる。健全ではない。
問いの立て方のコツ
How might we〜で組み立てる
幅広すぎたりするとアイディエーションが難しくなる。
全然出ない、あるいはいっぱい出るが発散しすぎる。こういうのは問いが適切じゃないことが多い。
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