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道端

「さぁ、そいつぁどうかな…」

通りすがりにどこから聞こえてきた。
まるで俺が今考えていたことを見透かしたかのように、その声は後頭部の右斜め45度あたりをコツンとつついた。
その一瞬の刺激に俺はほんの今の今まで考えていたことをうっかり忘れた。
それが良いことなのか、悪いことなのかはわからないけれど、とにかく忘れた。
グズグズとずいぶん考え込んでいたような気もするけれど、うっかり忘れるくらいだから、まぁ、そんなもんだったんだろう。

そして俺はまた歩き続ける。
歩き続ける…
はて、いったい俺はどこへ向かっていたのだろう。
そこはとても大事なところだったのか、それとも…
うっかり忘れるくらいだから、まぁ、そんなもんだったんだろう。
今はただ、目の前に咲く花のことだけが気になる。
なぜだかとても。
それだけは、うっかり忘れないといいな。

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