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光あれ。 / テート美術館展 光 - ターナー、印象派から現代へ

今年はなんだかいいことがあまりなくて、胸の辺りにずん、と暗くて重いものを感じながら過ごすことが多かったのだが、どうも厄年というやつらしい。


この記事はマイベスト展覧会2023 Advent Calendar 2023参加記事です。
どれも素晴らしくてベストは決められないけれど、個人の印象に残ったものをひとつ記します。


テート美術館展 光@国立新美術館

本展は7つのチャプターで構成されていた。

  • 精神的で崇高な光

  • 自然の光

  • 室内の光

  • 光の効果

  • 色と光

  • 光の再構成

  • 広大な光

一口に「光」といってもかくも様々な表現があるのかと大変興味深く鑑賞した。絵画もインスタレーションも好きな作家の作品が多く来ていてどれも良かった。

レイマー、ブルー

印象に残ったものの一つが、ジェームズ・タレル氏のインスタレーション作品「レイマー、ブルー」だ。
タイトルの通り、鑑賞者は展示室に入ると青い光に照らされ、静かに、作品と向き合うことになる。
その光に包まれてなぜだか私はぼろぼろと涙が出てきてしまったのだった。
私は何にそんなに感極まってしまったんだろう。
部屋を出てキャプションを読むと、こう書いてあった。

私の作品には対象もなく、イメージもなく、焦点もありません。
(略)
見ている自分自身を見ているのです。

なんのために美術館に行くのか

以前、「美術館に行くのってなにが面白いの?お金と時間をかけて行くからには、何か得てきているんでしょう?」と聞かれて、返答に困ったことがある。
なんのために美術館に行くのかは人それぞれだと思うが、少なくとも私は勉強しに行っているわけでもないし、知識を得て生活に活かせているわけでもない。

「見ている自分自身を見ているのです。」

美術館に行くことは娯楽だと言ってしまえばそれまでだけど、茶室のにじり口のように様々な肩書をかなぐり捨てて自分自身が自分自身でしかなくなるのがいいのかもな、なんて思ったりした。

光あれ

冒頭に書いた通り、私のこの1年は最悪だったのだ!
赦されたかったし、癒されたかったし、受け入れてほしかった!
そんな暗闇のような1年の中で、本展はいろんな光を見せてくれた。
「光あれ!」は聖書のことばだけど、やっぱり私にとって美術館は駆け込み寺みたいなところなんだ。。


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