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母の居残り勉強

やってきました、小学校の個人面談。

前からきょうだいのいるおかあさんって大変だなー、と思っていた。当たり前だけど、上の子と下の子の教室を行ったり来たり。時間がかぶることもよくあるので、授業中や懇談会の最中に、そうっと抜けて次の教室へ小走りに移動するおかあさんをよく見ていた。

保育園はおとうさんの参加も多いのに、なぜか小学校はかなり減る。それでも数名のおとうさんが居るのは、私の子供時代にはなかった光景で、世の中は少しずつ変わっているのだと信じたい。

ニンタが一年生になって、私もその仲間入りだと思っていたら、学校から渡されたプリントを見て驚いた。

上のいっちゃんは、いつも通り、担任の先生との面談。以上。

支援級のニンタは、支援級の先生との面談、交流級(普通級?)の先生との面談、児童コーディネーターの先生との面談、3枚プリントがある。その上、給食の件で校長先生ともお話しすることになり、私はその日、計5人との面談を行うことになった。

「多っ!」(タッ!ではなく、おおっ!と読んでください)。上のいっちゃんに、そう言われた。

1日で済むように日程を組んでくれたのはありがたいが、私には少々キャパオーバーだった。特に、最後に話した支援級の先生は、とても熱心で、これからニンタの学習をどう支援するかを、科目ごとに説明してくれ、私の質問を入れると1時間半かかった。保護者の居なくなった校舎の扉は閉まり、私は職員通用口から外に出て、大急ぎでミコの保育園へお迎えに向かった。

合計3時間の面談を終えて、私は燃えカスになって家に帰った。燃えカスらしく、その日の夕食は、食べ物かよくわからない焦げた魚と生野菜で、こどもたちは文句を言わずにそれをたいらげた。

「おかあさんはさあ、今日3時間先生とお話しして、もうさ、クタクタになっちゃった。いっちゃんは、毎日それ以上長い授業を受けてて、本当にすごいね」

いっちゃんはピースをして、ふふん、と笑った。

ニンタに関してはそれ以上に過酷で、もともと体力がないのに、学校が終わった後に放課後デイサービスまで行っている。帰宅は毎日5時。昨日など授業中に寝たという。学校も放課後デイも、嫌がる様子はないのだが、単純に体力が追いついていないのだと思う。

いきなり全部は無理だったかなあ、とも思ったが、といって、放課後デイにせっかく慣れたのに、しばらく休ませると、また慣れるまでに揉めそうだ。そして、放課後デイがなかったら、毎日私が学校にお迎えに行って、ニンタの勉強を素人の私が指導し、お絵かきだなんだと何時間も遊びにつきあうとなると、やっぱり私がもたない気がする。

こどもに障害があると、親は心配で、あれもこれもと手を焼きすぎると聞く。ニンタ本人が嫌がっていないのだから、ここはぐっとこらえて様子を見よう。自分のためにも。

入学前、私は支援級の先生の人数が少ないことを心配していた。ニンタは外では大人しいタイプなので、もし活発な子がいたら、先生はそっちにかかりきりになってしまうんじゃないか?ニンタが放っておかれる時間が増えるのではないか?

しかし、親の心配は杞憂で、特に一年生の今はかなり手厚く先生が見てくれ、手助けしてくれているということは、この1ヶ月でよくわかった。

何も心配がないわけではないが、もう、本当に、信用していますから、もう、大丈夫です、ありがとうございます。たった3時間で私はフラフラになって、先生たちがニンタのことを真剣に考えてくれているというメッセージを、充分受け取った。おなかいっぱい…。

最後に、どうでもいい愚痴を言うが、障害のある子と暮らすのはそれだけでも大変なのに、提出書類とか面談とか手続きが多いですよねー!ねー!

もちろん先生のせいじゃないし、丁寧に説明を聞かないと不安なことも多いし、サポートを受けるためにはノーチェックというわけにいかないことも良くわかる。

ただ、事実として、作業が多い。私はニンタの出生体重を何回書けば…。いやいやいやいやいやいや。作業が多いよ〜ん♪とか言って、ふざけておいた方がいいかも。説明が足りなければ不安だと涙をこぼし、長ければキャパオーバーと愚痴るとは、どれだけ贅沢なのだ、私は。

だって、世の中の人って、みんな頑張ってる。うちの子だって頑張っている。このくらいで文句を言ってはバチがあたる。

ほんのちょっと学校に居残りになっただけで、私は、「みんなが頑張らないでいい世界にしようよー!」と、虚しい提案を心の中でこだまさせた。

きっと、私が帰った後に、先生はまだ残業したんだろうな。

私のザレゴトは、このnoteに穴を掘って埋める。

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