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十二月某日 趣味としての読書

師走である。(という書き出しで、実はもう5,6度も物を書いている。どれも書き終わらないまま放り出してしまった。)流行り病の時勢では例年ほどの「年の瀬」感もなく、師も自宅に篭らざるを得ないのがいささか寂しいような気分になる。

さて、日常会話や就職活動など、生活のさまざまな場面で「趣味はなんですか?」と問われることがある。大抵の場合、予期せぬタイミングで忘れた頃にやってくるのが厄介なものだ。

普段は当たり障りのないよう、「音楽です、ええ、演奏も鑑賞もしますね。あとは強いて言えば散歩かなあ?」などとトボけた顔をしているけれど、本当は胸を張って「読書です」と宣言したいな、と常々思っている。

ただ、自分から「読書が趣味です」というのもなかなかに勇気が要る。おそらく本好き諸氏なら共感してもらえると(根拠もなく勝手に)思っているのだが、本を読めば読むほど、タイトルを知れば知るほど、自分には読んでいない本が多すぎるのである。

「本読んでます!」などと大口を叩いておいて、「では〇〇は読まれましたか?」などと訊かれた日には、十中八九沈黙せざるを得ない。
特定のジャンルに拠って読んでいれば良いのだが、わたしの場合は文字通りに乱読しているため語るほどのテーマもない。

熱意が足りないのか、選書に難があるのか、いずれにせよ躊躇いもなく「読書家です」と自称するには程遠い。

果たして「ご趣味は」に「読書です」と応じられる日は来るのだろうか。

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