27歳🦌屋久島ひとり旅

この感動が冷めぬうちに今の気持ちを残しておきたい。そう思った。それくらい心が動く日々だった。旅が終わるときはさみしくて、出会いが嬉しくて充実した日々を振り返って泣いた。
これを書いているのは2023年9月1日。（公開は9月21日）
現在私は休職中です。

2023年8/28〜31まで屋久島に行ってきた。
ひとり旅。1番の目的は縄文杉を見に行くこと。
次にもののけ姫の舞台となっている白谷雲水峡に行くこと。
想像をはるかに超えて最高で素敵な旅になった。
大切な思い出を綴っておきたい。

屋久島に行った理由

山田洋次監督の『十五才 学校Ⅳ』という映画がある。(以下ネタバレ含む)
横浜に住む中学校３年生の男の子がヒッチハイクで屋久島を目指す物語。
トラックの運転手さんに屋久島を目指す理由を聞かれ、彼はこう答える。「小学校の教科書に縄文杉が載っていたんです。屋久島の深い森の中に7千年も生き続けている大きな大きな杉の木。その幹に一度でいいから触ってみたい。そしたらきっと元気が出る。そう思ったんです」彼は半年ほど学校に行っていない。"冒険の旅に出る"と書き残して家を出た。

かつて、私も学校に行けない時期があった。母がレンタルビデオ屋さんでこの作品を借りてきてくれて主人公と同じ年齢で鑑賞した。
こんなにも心に響く作品は初めてだった。当時の私の心を揺さぶった。彼のようにヒッチハイクをする勇気はないけれど、大人になったらいつか屋久島に行こう。いつかそのタイミングがくるはず。そう思い続けて13年。"今だ"と思った。

もちろん、休職にしてすぐはそんなこと考えられなくて、身も心もズタボロだった。いつか就きたいと思っていた職業だったからこそ現状を受け入れたくなかったし、深い悲しみもあった。やるせない気持ちでいっぱいだった。頑張れなかった自分が悔しかった。けれど、友人は「頑張ったんだよ」そう言ってくれたことが嬉しかった。
実家に帰って療養する中で少しずつ自分を取り戻して、動けるようになってきた。計画的というよりは、衝動的だった。変わりたいと思ったし、屋久島に行けば何かがあると思った。

話は戻ってこの作品の中で一番心に残ったもの。
トラックの運転手さんの息子、引きこもりの青年「登」が主人公の彼にある詩をプレゼントした。その詩に強く勇気付けられた。
このままでは十五才のレビューで終わってしまいそうなのでその詩についてはまた別の投稿で紹介したいと思う。

ひとり旅にもってこいな島

屋久島はひとり旅にもってこいな島だと感じた。
私がそう感じた理由は３つ。

①アクセス面
②お金の面
③自分と向き合える

①正直アクセスは悪め
東京から屋久島への直行便は存在しない。
羽田空港から鹿児島空港に行き、そこから飛行機を乗り継ぐかフェリーを利用するかが最短ルート。移動に半日以上は必要になる。友達と休みを合わせて行くには少しレベルの高い島。

②その分お金もまあまあかかる。
LCCは運行していないし、多少の登山グッズも必要になる。登山靴やザッグ、雨合羽のレンタルはあるが、吸収速乾の衣類やストレッチの効いた服等、一から揃えると結構な出費になる。

③縄文杉に対面するには往復11時間かかる。
長時間歩き続ける中で自問自答する時間がきっとある。特にトロッコ道。
景色もさほど変わらず、ただただ歩き続ける。その間、己の心と向き合った。これまでのこと、これからのこと。たくさん考えた。
普段の生活に疲れていたり、じっくり自分とお話がしたい人にはぴったりだと思う。縄文杉に会えた感動はこの時間があってこそだろう。
私は休職して体力には自信がなくなっていて、でも歩くことが出来れば自信になる気もした。実際自信になった。

縄文杉は樹齢７千年とも言われている。樹齢に関しては様々な諸説があるが、折れた枝を調べたところ千年を超えていたそうだ。
枝で千年なら７千年も納得できてしまった。
屋久島では、千年以上の杉の木を屋久杉と呼ぶ。千年以上そこに立っている屋久杉を見ていると、自分の人生27年なんてたかが知れている。千年以上生きてる木を目の前にすると私の悩みはちっぽけな気がした。

縄文杉は少し遠くにいて、触れることはできなかったけど、存在感は半端なかった。7千年もそこに立って、何を見てきたのだろうか。
縄文杉を見た人はどんなことを考えたのかな。

共に縄文杉を目指したおひとり様

縄文杉トレッキングはペース配分も大切。ソロでは不安なのでガイドさんにお願いして縄文杉を目指した。ご夫婦やお友達と来られている方もいたけど私たちのグループはみんなおひとり様で参加。偶然にも同世代だった。
７名+ガイドさんの８人でズラーっと並んで歩いた。ガイドさんは明るいベテランおじさま。
屋久島に一人で行こう、そう思う理由は人それぞれだと思う。だけど、軽い気持ちで行ける場所ではないとも思う。
きっと、みんなそれぞれの理由があってここに来た。そう思うと心強かった。初めましてだったけど、一緒に歩く仲間の存在がありがたかった。

たくさんの出会い

屋久島に行って、本当に素敵な方たちと出会えた。
このタイミングで出会うべくして出会ったのだと思う。本当にありがとう、という気持ち。

＊Ｙちゃん
Ｙちゃんとの出会い。私は運命のように感じている。
ひとつ上の女の子。ボブでおめめがぱっちり。第一印象は「可愛い…！」だった。おひとり様同士のツアーだったからほとんどの時間を共に過ごした。
彼女が屋久島に来た理由は「屋久島が呼んでいる！」と感じたそう。そう感じる感性が素敵だと思った。人として好きになった。これからもずっとお友達でいてほしいな。

＊Ｍさん
少し年上の大人の女性。優しくて穏やかな雰囲気を身にまとっている。縄文杉のトレッキングが一緒で、列の前と後ろだったからあまり話す機会がなかった。けど話してみたいって思っていたら帰りの飛行機が同じだった。
夏休みでいらしてるんですか？そんな会話から職業が同じことを知る。そしてＭさんもお仕事をお休み中だった。同じような境遇でびっくりした。鹿児島空港でＹちゃんとＭさんと一緒に鹿児島ソウルフードをいただいた。東京で必ず再開しよう、と話した。

＊Ｉさん
Ｉさんはホテルのおじさん。優しくて素敵なおじさま。４日間屋久島にいたけど、朝早くから夜遅くまでずーっと動いてらっしゃるので、ちゃんとお休み取れてますか？って聞いたらノーコメントってお返事が返ってきた。働きすぎないでね。本当に素敵なおじさま。心が疲れる前に連絡しておいでね、屋久島の写真を送るよって言ってもらえて嬉しかった。

＊Оさん
ホテルのお姉さま。笑顔がチャーミングなOさん。私はОさんの笑顔に救われた気がする。キラキラした笑顔。忘れられないなぁ。去年、神奈川から移住してきたと聞いた。縄文杉より白谷雲水峡の太鼓岩からの景色に惚れたと聞いた。私も、太鼓岩の景色に惚れた。素敵なスタッフさんのいるホテル。次、屋久島に行った時もお世話になります。

＊Hさん
ホテルで出会った少し上のお姉さん。めちゃくちゃ飲む。夕飯の前にビール３缶飲んでいた。酒豪。おばあちゃんが屋久島の方だそう。東京から来ていた。東京に帰ったらYちゃんと一緒に屋久島のご飯とお酒が飲めるお店に行こうねって話した。

＊Kさん
ご飯を食べたお店で出会ったおじいさま。偶然相席になった。この方との出会いで私は諦めかけていた夢を追いかけようと思った。JICAに行くという夢。背中を押してくれた。絶対いけ！何が何でもいけ！と言ってくれた。それくらいKさんにとってJICAというものが人生の中で大切な思い出で大きな出来事だったんだろうな。Kさんがご自身の人生を語る姿がカッコよかった。良い出会いができた、帰り際にそう言ってくれたことが嬉しかった。

屋久島に行くと人生観変わる？

屋久島に行くと"人生観変わる"って聞いたことあったけど、そんな簡単に変わるかよ、とか思ってた。でも本当だと思う。人は、人との関係に疲れることもあって、でもやっぱり繋がりに救われるんだと思った。
普段、都会で生きていると他人の人生に触れることはそれほど多くはなくて、でも島に集まってくる人の人生を垣間見ると、色んな人生があるんだなって思った。
屋久島に行って、自分はどんなに狭い世界で生きていたのだろうと思った。どうでもいいことでくよくよしてたなぁって思った。縄文杉トレッキングという、ちょっと過酷な思い出こそがこの旅の良さなんだろう。普通の旅行だとキツいことってあえてしないしなぁ。
次は桜の咲く季節に行きたいな。太鼓岩から桜のピンクと自然の緑が合わさったコントラストを想像するだけでわくわくする。けど冬もいいなぁ。屋久島は南の島なのに冬には雪が降るらしい。太鼓岩から眺める雪景色はどんなだろう。夏にまた行って海のアクティビティもしてみたい。

また、屋久島行くタイミングがくるんだと思う。計画して行くのも良し、今だ、そう思ったタイミングで行くのも良いなと思う。
けど、きっとJICAに行って、帰って、それからになるのかなって思う。
その間、生きる理由をもらえたから。そうか、書いていて思った、私は生きる理由を一旦失ってしまっていて、でも屋久島でまた生きようと思った。思わせてもらった。色んなひとに出会えて本当によかった。Yちゃんと空港で別れるときみたいに、これを書いていて涙が出てきた。本当にありがとう。
また遊びに行くから、待っていてね、屋久島。

太鼓岩からの景色。Yちゃんと私。