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カルボナーラってなによ?(1970年代の僕)。

 小学校3年生くらいだったと思う。とにかく今でもはっきりと覚えているのは失敗して玉子がそぼろのようにボソボソになり、麺と分離してしまってるカルボナーラである。玉子焼きパスタとでも言えばいいのか。

 うちの親父が料理が好きだと知ったのはもっとずっと後のことである、会社員時代の半分は単身赴任だった彼は自炊が得意だったのです。80歳を超える今では母に代わり、ほぼ全ての食事を作ってるようだ。この前実家に顔を出した時も、母は「味噌汁しか私は作らないのよ、助かるわ」と言って喜んでいた。

 親父は極めて神経質で細かい男である。特に若い頃は就寝時は些細な音でも覚醒め、常にピリピリとした印象だ。仕事の話は家では一切なく、それでも相当のストレスを抱えていたのだろう、家族が気に入らない事をすると躊躇なく当たり散らしていたのだ。

 そんな彼が当時珍しく興奮して私達家族にカルボナーラなる玉子を使ったスパゲティ(あえてパスタとはいいません)をどこかで食べ、大変美味しいものであり、作り方を聞いてきたと言ったのだ。
 1979年頃の子供には、いや、日本では大抵の人が聞いたことも見たことも、もちろん食べたこともないスパゲティだっただろう。それを赴任先の外国で食べたのか、日本で食べたのかは定かではないが、おそらくは卵黄の作用でペットリと唇同士がくっついてしまうような濃厚なカルボだったのではないかと思うのだ。とても機嫌が良かったのも覚えている。

 とある日曜日に父はカルボナーラを昼ごはんに作ると宣言します。具は普通のベーコンを1cm幅に切ったもので勿論パンチェッタなどではなかったと思います。
 おそらく材料と作り方をざっくりと聞いてきたのだろう、料理人からしてみれば「火加減」以外はシンプルでさして難しくない料理のはずだ。あとは作り手の好みなどで、卵黄だけなのか、生クリームを入れるのか、本格的にパンチェッタを用意出来るか、などであろう。
 結局、冒頭で書いたように玉子がボソボソに固まってしまったのである。たとえ弱火で麺とソースを絡めていても固まる前に予熱も計算して火からフライパンを外すか、もしくは濡れ布巾などで冷やしてやらないと玉子焼きになってしまう。

 最近の家庭用のレシピを見るとボウルで卵黄のソースを作り麺の予熱で和えるだけのレシピをよく見かける。失敗を防ぐためだろう。しかし、この方法だとペトペトとした濃い半熟卵のようなモッタリ感が出ない。卵かけご飯のようになるのだ。好みもあるでしょうが、やはりここは火を入れた方が格段に美味くなると思っている。
 私のレシピは随分前に料理本で覚えたものに少し手を加えたものです。過去に隠し味で柑橘を少量入れるなんてこともしたことがありますが、美味しいのはシンプルな物でした。

 なので現在は1人前に、卵黄2つ、パルメジャーノなどの粉チーズ、生クリーム、胡椒、ベーコン(あればパンチェッタ)だけです。
 しかし、生クリームの扱いが面倒臭く、使い残しの利用を考えないといけないですし、お値段も安くはない。そこで最近ひらめいたのはコーヒー用の粉ミルク「クリープ」で代用することです。「クリープ」以外の「マリーム」などは同じ粉ミルクでも原材料が植物性となっており、乳製品を材料にしているのは「クリープ」一択なのです。
 ネットには同じ事を考える人がいて、その方は「クリープ」を牛乳で溶いてから使ってましたが、どうせ火を入れて水分を飛ばしモッタリとした食感に仕上げたいので、私は牛乳なしで若干多めの「クリープ」と、卵黄と全卵を使って水分調整の代わりとしました。

 出来上がったものは若干モッタリ感が物足りなく、卵黄だけで良かったようです。「クリープ」ももう少し入れてもよかったかなと感じましたが、十分にクリームが入ってるようなまろやかなコクがあり、言わなければ普通の人にはわからないレベルの仕上がりでした。結果、料理で使うクリームの代用に十分なり得るかなと。
 長期保存も可能ですし、高いものでもなく、使い勝手は良さそうなので、これ以外にも使える用途を探しみようと思うのです。

 皆様も是非、試してみたらいかがでしょうか??

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