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『おかえりモネ』第99回 心が折れてもデータは届ける!

 モネの決めたことを“綺麗事”にしか聞こえないと言い切ってしまった亮。モネは受け止めますが、横で聞いていた未知、隣室の亜哉子と龍己は困惑しています。

亮の気持ちも、わかるから

「あんまいいお酒じゃないね!」
 亜哉子は居間にやってくるとそう言い、その場を仕切ります。これで飲み会終了、さあ帰宅! 24にもなってもう。帰宅し寝て朝起きて、仕事に行けとささっとまとめます。三生や悠人にはできない采配だ。さすがですs。
 家族に気遣われつつ、モネ本人は冷静です。震災から立ち直ろうにも、災害はあるし、元に戻らないものもある。そりゃ色々ある。
 亮には震災被災者24歳の苦悩が凝縮されています。
 母と船を失った。借金だけが残った。中古船を買うしかないから、マイカーすら持てず、友人を運転手にしている。未知も悠人もいい奴だけれども、それでも毎回「悪ぃな」と言いつつ運転を頼んだら、ちょっとづつ引け目っていうもんが溜まっていくわけです。父・新次みたいな、カリスマ漁師になれるんだか、なれないんだか……。
 モネはそんな亮の思いすら受け止め、ここでやると決めたと断言します。モネの精神は強いのです。

アワビの開口は一大イベントだ

 モネがラジオの仕事をしていると、石田滋郎という東北らしいおっさんがきています。組合長だそうです。これもなんともまぁ、東北のおっさんそのもので圧倒されるというか。龍己も無愛想ですけれども、それ以上ですね。こういうおじさんはテレビに出ていた若いねえちゃんがいても無愛想でな。
 なんでも石田はお知らせをしたいらしい。来週はアワビの開口。そのことを告知したいそうです。
 モネはその放送を見守り、自分なりにアワビの開口を調べます。ビジネスチャンスですからね。アワビの開口というのは、ひと月に数日間だけある、朝に二時間だけある猟解禁日だそうです。資源保護の観点から、こうも限定した時間だけ解禁しているそうです。
 龍己にモネが聞くと、もうそんな季節かとしみじみしています。腕のいい漁師にとっては稼ぎどき! おばあちゃんこと雅代も張り切っていたそうですよ。
 フカヒレも、アワビも、中華料理の最高級食材です。昔から日本はこうした海産物を輸出し、稼いできたわけですね。
 その大事な開口日は、腕のいい漁師が決めるそうですよ。モネはその条件を龍己から聞いています。なんといっても大事なのは、水の透明度。風量か! モネは気付きます。モネは生き生きとしてきます。モネは女性ですし、そこまで極端なリアクションはしませんが、同じような思考回路のタイプでわかりやすいのがシャーロック・ホームズ。ヒントを見出すとリアクションをしますよね。頭がぐるぐる回っているんです。
 はい、気象予報士モネはアプローチを開始します。あの石田に電話して、気象情報で開口をある程度絞れると持ちかけるのです。
 確かに外せないものではある。外すと非難轟々だそうです。儲けるぞ! そう張り切っていたのに獲れないとなれば、そりゃそうでしょう。外したら街を歩きたくもなくなるって。
 そこでモネは気象情報のメリットを言い出しますが、石田から電話を切られます。二度かけて、また切られます。
 それでもモネは颯爽と飼料を入れたバッグを持ち、漁協へ向かうのでした。本当にモネは精神が強い!

 永浦家では耕治が仙台から帰ってきています。お土産は牛タン。NHKなので実在のものは使えませんが、仙台ならあの特徴的なアシンメトリー伊達政宗兜を使えばそれでだいたい説得力がついてきます。政宗は便利だね。伊達だね。小道具さんががんばった袋ですよ。
 話題は民宿の話に。再開前に牡蠣棚のことだと亜哉子もわかっています。それでもおじいちゃんは勧めてくる。疲れているのかな。そう気遣いつつ、耕治も手伝ってくれる人に声をかけてみると言っています。
 そしてここで爆弾発言。なんと仙台の部長に出世しました。ゴールは気仙沼支店長どまりだと思っていたのに、そこまで出世してしまったのです。そうなると単身赴任か?
 そしてご存知の通り、これから先、コロナ禍での単身赴任は大変です……。

心が折れかけてもがんばる

 久々に菅波が出てきます。電話で二人が話しているのです。菅波はモネの挫けない強さに感心しています。僕なら心折れるって。モネも心は折れかけていると言います。
 やはり、菅波っておもしろい。モネを強いと評価する。石田を「いやなおっさんだ!」とは言わない。菅波なりに、モネの押し付けがましさをわかっているのかもしれない。アプローチは悪くてもモネのしていることは正しいから、嗜めないけど。
 結構年齢差がある二人ですし、菅波からすれば「僕も昔そういう猪突猛進ぶりがあったなぁ」と思っているのかも。朝岡からもそんな余裕ある目線を感じます。
 モネだって、心が折れかけていても冷静です。泣きつかない! そこが「かわいくねえ」「何考えているかわかんねえ」となる人も多いでしょうね。
 菅波も復帰して、役立っているかわからない状態なんだとか。オペ看にきついことも言われているそうです。それでもよいチームだと冷静に俯瞰的に見ている。モネは人が変わったかと噂されていないかと言います。丸くなりましたもんね。
 菅波は慌てているようで面白くもある。自分がいなかった時間を埋める楽しさがあるそうです。
 モネも同じことを考えていたそうです。お互い体を気遣って電話を切ります。

「市民の時間」を復活させよう

 ラジオ局に市民のみなさんがきます。石田がアワビの開口をお知らせしたから、自分たちも祭りのお知らせをしたいのだとか。
「テレビで見た人だー!」
 そう子どもの一人がはしゃぎ、はっとした。そういえばモネの全国テレビに出ていた威光って、実はそこまで効いてない。やはりテレビの力は落ちていて、本作はそこまでわかっているんじゃないだろうか?
 ここで高橋という女性と、遠藤が久しぶりだと顔を合わせています。災害FM以来の仲だそうですよ。高橋はそこで得たノウハウで、テキパキと放送の手順を整えます。かつてラジオには「市民の時間」というコーナーがありました。その復活というわけです。
 それにしても、主役であるモネがこれほどまでに中心にいないというのも面白い。これがリアルかも。
 都会からやってきた人間が、地方で燦々と輝く時代じゃない――そんな問題提起を感じます。これからは人間の本質が求められているってことかな? 飾りでなく、肩書きでなく、本質が大事ってことだ。

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