『おかえりモネ』第24回 知識は武器になる
菅波天気講座は続いています。乾燥と蒸発はちがいます。そこから始まる親切さがあります。
菅波先生の天気講座続行中
乾燥は温度だけでもない。冬でも洗濯物は乾く。ここでモネが風吹くと乾くといっただけで、菅波はこう言います。
「天才です!」
菅波さぁ。「モネちゃん、すごいね!」とか、「永浦さん、よくわかったね!」ではなくて「天才です!」かぁ。彼の個性ですね。
そう説明していると、モネは木材だったらと言い出します。菅波は「木材の話は今しないで」という。マルチタスクや雑談が苦手でね。
机のサンプルができたぞ
そしていよいよ、モネ発案の机だ! いい材料だ、はじめっぺ! 削って、ヤスリをかけて、すごくいいものができていく。見ているだけでワクワクする。素晴らしい出来! こりゃ欲しい! そう思える机ができますが、クマさんは「重いんでねえが?」と評価する。モネが持とうとすると確かに重い。 気づかなかった! そんな試行錯誤を重ね、脚をスチールにした机ができます。
軽い! 安い! いいんでねえが。そうクマさんもイチオシだ。
モネは頭のキャパがついていかないといっている。天気講座です。菅波は雲ができるところ、台風まで話が進まないという。モネが自分は大きな台風の日、満月の夜に生まれたといいます。二週間早いけど、満月のせい? そう言い出すと、菅波の頭のキャパが目一杯になる。なまじ医学ですし、化学的な証明はされていないし、もう語ることが多すぎるからあえて止めたと。のみならず、医療分野はでたらめを言ってはいけないから、いったん持ち帰って考え直すなりしたいのでしょう。
今は天気の話だ。菅波は誠実だ。
嗚呼、納期問題
机は市役所でサンプルを気に入っています。ぬくもりがあるし、とてもいい。なんといっても地元の木材です。しかし納期問題がある。市内全校で4200となると、そこは厳しい。できてひと月で30。しかも年度の終わる三月、あと半年。これでは断念しかないか。森林組合では佐々木が悔しそうに報告します。
安くて早いもんにとられちまう。川久保がくやしそうに淡々という。安くて早いもんを求めることは悪くないとサヤカはいうけれど、その結果が、きれいな木を切り倒し、粉々のチップにされちまう。そんなくやしさがそこにあります。東京の子ども向け業者も動いているし、そこが取ってしまうだろうと。
なかなかすごい問題提起だ。
クマさんは、新しいことがぽしゃるのは林業ならしょっちゅうだとさらりと言ってしまう。慣れているってことでしょう。
知識は武器です
モネが暗い顔をしていると、菅波が「始めますよー」とやってきます。落ち込んだ時は、新しい知識を身につけると菅波は言います。だから先生はいつも勉強しているんだと納得するモネ。
「四六時中落ち込んでいると?」
ちょっとショックを受ける菅波。モネも言うことズレていてキツいからなぁ。ただの陰キャと思うなよ。
「このタイミングで出すのは我ながらあざとすぎて何ですが……」
そう言いつつ、何かを出す菅波。中学校の理科参考書です。モネの使う本は極端。絵本と気象予報士試験参考書ではそうですね。その間を買ってきたと言います。たまたま目についたとか言っていますが、モネの持っている本の中間点を踏まえて買ってきたからには、そのことがいつも引っかかっていたのでしょうに。
モネは受け取りつつ、支払うと言い出す。受け取れないと菅波。モネも素直に受け取らないところがお硬くて彼女らしい。菅波は誕生日プレゼントだと言い出す。
1995年9月、大型台風が来ていて、満月。その条件なら一昨日だろうと。
そう調べた菅波……キモいぞ!
「知識は武器です」
そう菅波はいう。持っていれば役立つ、持つに越したことはない。
それから「誕生日に参考書。子どもなら泣く……」とぶつくさ言っております。気になる若い女性の誕生日プレゼントが参考書ってどーなのよ。そう発想しないところが菅波らしい。
そんな菅波からもらった参考書で、モネは武器としての知識を身につけます。洗濯物を干しながら、乾く仕組みが頭の中を回っている。そして「サヤカさーん!」と何か思いついて走ってゆきます。
モネは試験勉強だとそこまで強くない。高校も大学も受験で失敗した。でも、実践と武器としての知識が結びつくとめっぽう強い。戦国武将だったらえげつない攻城兵器を開発できるタイプだ。抜群の冴えがこれから発揮されます!
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