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『虎に翼』第16回 平和な入学?

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2024/04/08 22:30

2024/04/30 23:30

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寅子は酒を飲む

 昭和10年(1935年)、猪爪家では寅子の法学部入学を祝い、昭和らしくお頭付きの鯛と、赤飯でお祝いをしております。
 ここで注目したいのは、ビールを寅子たち女性も飲んでいること。先進的ですね。飲み方もはるは片手でグラスを持ち、もう片方で支えているのに対し、寅子は片手でクイッと煽っています。しかもペースが早い!
 女性と酒ーーこの関係性にはジェンダーがどうしたって入ります。韓国や日本のドラマでは、女性が酒を飲むことははしたないとされてきた。せいぜいが酒席に侍る妓女がお酌をして、そのついでに飲まされるとか。東アジアだけの問題でもなく、ウイスキーもそう。ウイスキーは当初、アイルランドやスコットランドの密造酒です。台所でその家のおばあちゃんなり、おばちゃんが作ることも往々にしてあった。それがなまじお墨付きの国民的な酒となると、工場長やら責任者は男のものとされてきたのです。
 朝ドラの『マッサン』でも、タイトルロールの妻はウイスキーが飲めない設定でした。スコットランド出身なのに。愛妻が喜ぶウイスキーを作るのでもよかっただろうに。同じ脚本家でも、『ちむどんどん』ではヒロインと先輩格の料理人がワインを飲む場面があり、進歩を感じました。
 それがやっとここまできた! 朝ドラでヒロインが酔っ払うなんて素晴らしい。桂馬が甘党であることともあわせて、嗜好からもジェンダーバイアスを除こうとする意義を感じます。

優三はまだ浪人中

 なお、花江と直道は別居することになりました。問題解決に動いていたようです。直人という男子も生まれてめでたいことです。
 ただ、優三はまたも試験に落ちています。ここで優三がこそこそしているのは、やはり合わせる顔がないのでしょう。直言は優三の父に恩義があるのと、寛大なために許していますが、もっとシビアな家主なら追い出していますからね。優三は学費を猪爪家に頼っている。借りがある弱い立場です。優三は亡き父と同じ道を歩まされているのも、気の毒な話でして。適性があるかわからないのに、父の職業を継ぐ息子が多かったものです。

 しかも寅子は法学部に進んだ。法改正も昭和8年にやっとかない、女性弁護士の道も開かれたのです。入学式も無事終わり、はるの言う地獄本番が始まります。みな、男子学生に警戒心をしつつ教室へと向かいます。
 教室に入ると、イケメン……もといハンサムな男子学生がこうきました。
「やあ、ごきげんよう。みなさんお待ちしていました」
 なんだこいつは。罠か?

歓迎する花岡、反発する轟

 授業のあと、甘味処で女子学生は呆けています。なんでも男子学生が思いの外親切であったらしい。よねだけは冷静ですが、よねの場合、何かあれば怒っているのでこれでも呆けている部類でしょう。
 花岡というハンサムな学生は、優しく迎え入れたうえ、自己紹介をしあうのでした。花岡悟はわざわざ字幕まで出ます。しかも、寅子たちを尊敬しているとか。法曹界のみならず、男女平等の世の中を切り拓く開拓者だと言うのです。そこまで言われたらそりゃうっとりしますよね。
 開拓者という言葉にうっとりしていると、よねは浮かれていると毒づく。でも、寅子はよねが毒づかなかったと見抜いて指摘します。「黙れ」とよね。
 ただ、例外はいました。轟という口髭のバンカラ野郎です。「笑止!」とか言い出しおったよ。
 なんなんだろう、轟太一のこの時代小説で語彙を取り入れた感。こいつ、絶対、立川文庫や吉川英治が好きだぞ。今のアンフェ(アンチフェミニスト)語録に似ていますね。クズ男の解像度が高いドラマだなあ! 扇子でパタパタするあたりもそれっぽい。扇子とは東アジアで文官の象徴でして、武士の正装にも含められています。轟は武士道精神を気取っているのでしょう。
 ここで轟は人類史を持ち出します。あるあるだわ。男が政治をやっていて女は家庭にいたというやつ。花岡がここで卑弥呼、北条政子、エリザベス1世を持ち出します。この時代らしく神功皇后もありだな。北条政子が出てきましたが、政子評価はおもしろいのです。明治以降、頼朝の不貞に怒るところもむしろ加点されて、女子学生に再評価されていたんですね。
 ここで轟はそんあ女はごく僅かだという。花岡はここにいる女子学生はそのごく僅かだと返します。轟は留年したらしい小橋に助けを求めました。小橋とは、よねに金的を蹴られたアイツです。小橋は金的のトラウマがあるのか、よねに見つけられると謝りだし、轟ともめあいます。
 もうさ、轟と小橋で硬派にやっていけよ。明治以降の男子学生は「硬派」と「軟派」があった。前者は男性同士の機会的同性愛を育む。それが女子学生が出てくるといいよる男子学生がいる。これを「軟派」というと。こういう轟みたいなやつに限って女体にムラムラしていて、女郎屋やカフェに通っているからしょうもないですね。ケッ。
 ここでよねは、轟のようなトラブルメーカーと一緒にされかけまして、抗議しています。

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