見出し画像

『おかえりモネ』第112回 祈って気づいた

 耕治と新次が話しているところに、未知が亮を連れてきます。

東北人の無口と謙虚と、無愛想

 亜哉子は龍己に来訪を告げ、耕治のこともそっと庇います。あの人は頑張ってやるつもりで、中途半端にしないだろうと。我が子のそんな気質を知っていようと、龍己は反対しています。うんと言わなきゃそれまでだ! かなり強硬です。亜哉子はここで、龍己が見ている写真に気づきます.最近よく見ているというその写真は,津波で壊れた建物でした。出てきたから見ているだけだと言うものの、何か思うところはあるのでしょう。そういうところが細かいドラマです。

 新次はいちごの「けせまひめ」をお土産に持ってきています。いつもと同じだと言うし、日曜なのにすまないというし。このドラマって謝るというか、腰が低い人が多い気がします。あと全体的に説明不足な人も多い。東北人らしさが出ていると思います。
 モネに島まで連れてこられた新次は、逆転したとしみじみと言います。思えばもう24年前、生まれる直前のモネを島から運んだのが新次でしたね。美波の腹には亮がいたと思い出す新次。亜哉子がそのことにお礼を言うと、美波も楽しんでいたと新次は返します。
 ここで線香をあげる新次。このドラマは仏事がしっかりしていてよいと思います。亡くなった家族の幽霊は出てくるのに、線香をあげる場面すらないドラマはどうかと思いましたからね。

祈って気づいた

 寒い寒いと言いつつ、耕治はコタツに入ります。新次は書類、印鑑、ガラケーを卓の上に置きます。書類は美波の死亡届でした。これを出せば多少金が入るから、それを亮に持たせたい。船の資金にすると新次は言います。
 しかし、耕治は考えてみろと促す。無理をしていないか気遣っているのです。
 そこへ亮が来ます。

 モネは龍己に声を掛けます。
「俺が出てくことでねえ」
 そうきっぱりと言う龍己は潔い。二人で話し合うものだと龍己は言います。もう9年だ。そう彼はしみじみと言います。
 耕治は離れている亮に、ここに座れとコタツに入るよう促します。おめえのうちの話だ。そうキッパリと言います。ごく当たり前のことなのだけれども、もう亮は子どもじゃないのです。
 新次は、美波の死亡届を出すことで、見舞金と保険料が入ると言います。それで船を買うのならばよい使い道,お母さんも喜ぶと言います。耕治はしみじみと、金は大事で生死に関わると言う。銀行員らしい言葉です。
「でも、おめえの気持ちはどうなんだ」
 そこがまだ成立していないのならば……そう耕治は気遣います。何気ないようで、彼らしいセリフです。銀行員という特性だけでなく、先天性のものもあるかもしれない。
 ここで菅波、朝岡、そしてモネのことでも思い出してみましょう。一番菅波がハッキリと出ていますね。彼らは気持ちよりも理論重視でいくようにしばしば口に出してしまいます。そして揉める。菅波のモネへのメッセージなんて、かなりキツイ。耕治が見たらイラッとするでしょうし、彼は菅波をいけすかない奴だと思っているそうですからね。娘の彼氏というだけでなく、性格も違うんですよ。菅波だったら気持ちは気持ち、ここは金だと理論展開しそうではあるのです。
 新次はスッとガラケーを見せます。
 彼は車の中で考えていました。
「親父、大丈夫か?」
「亮、ありがとな」
 新次は亮があんなことになって気づいたことがありました。彼は美波に祈った。亮を連れていかねえでくれ。亮が向こうにいったら、美波もさみしくねえ。冗談じゃねえ。そうひたすら美波に祈っていたのです。
 そして気づいた。
 美波が向こうにいるって。そう思っているからこそ、美波に祈っていたことに。
「ほんとうにごめんな」
 わかったから、ここからは二人で話せ。そう気遣われる父と子でした。

ここから先は

788字

朝ドラメモ

¥300 / 月 初月無料

朝ドラについてメモ。

よろしければご支援よろしくお願いします。ライターとして、あなたの力が必要です!