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『水都百景録』を楽しもう 森鴎外『魚玄機』

 青空文庫収録。オンラインで読めます。

晩唐女流詩人の悲劇

 魚玄機(844−871)は晩唐の女流詩人です。温庭筠は(812?−866)です。
『水都百景録』は両者ども若い頃の姿をしています。魚玄機は若くして刑死しておりますので、そういうものでしょうが、温庭筠は享年66とされます。親子ほどの年齢差があり、温庭筠が魚玄機を見出し、詩の指導をした関係です。
 娼家に生まれ、早熟の文才と美貌を持つ魚玄機。温庭筠は知り合い富豪であり、自分よりも若い李億を魚玄機に紹介します。李億は妻があるものの、妾として魚玄機を迎えます。ところがおよそ二年ほどで彼女は捨てられてしまう。李億に向けて書いた詩には劇場と悲哀が満ちています。

 李億は手切れ金を寄越していましたので、彼女は道観に入り、女道士となります。出家の身といっても恋愛に規制はなく、美貌と才知溢れる彼女は名花そのもの。まだ彼女は二十歳になるか、ならないかです。アプリの画像も、同じく女道士である羅素月よりも色っぽく見えます。唐代らしいグラマラスな美貌です。

求め易きは価無き宝、得難きは心有る郎

 価値のない宝物なんて簡単に手に入る、けれど、心ある男性は手に入らない。

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488字
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