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『ちむどんどん』第9回 一家困窮か、口減らしか

比嘉家に届いた手紙は賢三の叔母からのもの。子を一人、引き取りたいというものでした。

口減らしを勧める周囲

優子を囲んで、近所親類がいい話だという場面。子どももバッチリ聞いてしまいます。朝ドラ名物盗み聞きは、それだけ家屋が開放的だったということでもある。冬は寒い。
この場面で辛いのが、誰も優子を気遣わず、むしろよいことだと勧めるところ。甘っちょろく、誰か(女性が多い)がこれみよがしに庇うこともない。優子は言い返せない。相手も借金保証人だからそこはシビアになります。

それに、本土へ行った金の亡者という呼び方もすごい。パンチがある。

なんでこんなに冷たいかというと、やっぱり余裕がないからなんですね。優子が働かないと子どもを一人やらないといけないというと、相手はこう返すのだ。俺も9歳で働きに出た。衣食が足りないと、礼節もついてこないわけだ。

乗り気になるきょうだいだけど

東京行きを聞いて、兄弟は乗り気になってしまいます。

賢秀:漫画
良子:洋服
暢子:食べ物
歌子:歌手

こういうところでも興味関心がちゃんと出ています。良子が持ってくる洋服雑誌なんて、小道具さんの努力を感じさせましたね。時代考証もしっかりしているので、当時の歌手も、ちゃんと固有名詞が出てきます。
時代考証がバッチリだ! いや、この時代ならバッチリでないとむしろおかしい(過去のあれやこれやを思い出しつつ)。

思い出の効能

青柳が思い出の効能を語ります。どこへ行っても、きっと皆の力になる。そう素朴に語られること。これが朝ドラの意義だと思うんだなあ。遠く故郷から離れて人生を送る人がいる。そういう人の心を癒す名セリフです。
だからご当地を回してやる。それが朝ドラだ。
そしてこのセリフと、沖縄ロケの美しい自然が響きます。こんな綺麗な海を捨てることを、4人のうち、誰かが決めないといけない。
その重みの前振りとして機能しています。

涙をためて、笑う暢子

そしてこのあと、あの大人たちが家にきて、小柄な母を責め立てている。誰か一人を東京にやれと言っている。渡航証明書がいるという。子どもにとっては辛い場面です。しかし、きょうだいは全員、口ごもってしまう。行きたくないのです。
ここで、大人は賢秀を子ども扱いしないんだな。
賢秀は何かあると長男の言うことを聞けと兄貴風を吹かせる。でも、それが重圧にもなっているとわかる場面でもあります。男なんだから働けと圧力がすごい。大黒柱のプレッシャーだ。
そんな中、暢子はついに立候補する。笑っているけど目には涙がいっぱい溜まっている。こんな泣き笑いをさせる運命が憎い。そう思わせるドラマです。

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378字

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