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『おかえりモネ』第120回(終) おかえり、モネ

 音楽なんてなんの役にも立たない――そう震災のあと、言ってしまったモネ。普通に笑おうよ。そう言い合っていたモネと幼馴染たち。彼らの着地点は?

開いた中には

 そして開けた中にはアルトサックスがありました。卒業コンサートのチラシも。それどころではなくなってしまった、2011年の3月でした。
 最初の頃は思い出したくなくて、開けられなかった。そのあとは、あのときの無力感を味わいたくなくて封印していた。そんなケースをやっと開けられました。でも今は、開けて戻ってたまるかって、思えた。もう何もできないなんて思わない。そうモネは言います。
「はあ、やっと開けられた」
 そんな姉に未知は言います。
「おかえり」
 亮も言います。
「おかえり、モネ」
「うん、ただいま」
 無力感から帰ってきたモネはそう言います。モネは帰ってきたのです。

亮の船

 そんな2020年2月、亮の船が進水します。新次は息子の晴れ姿を見にこいと永浦家の面々を誘いますが、耕治はキッパリと断ります。亮の船がでる。それを新次が見送る。そんなところを見たら、泣いちまう。それならなおのこと見て欲しいと粘られても、耕治は頑なです。
 そんな船の進水式で、新次は大漁カンバンという衣装を手渡します。長い半纏のようなもので、ド派手! 美波がこういうの好きだったと語る新次は穏やかです。こうして穏やかに妻のことを話せるようになったんですね。
 耕治はしみじみと語ります。父が子を見送るところなんてみたら泣く! これでいいと思っちまう。胸を撫で下ろしてしまう。そんなんでねえ。もう少し先に見て、泣くって。

 亮は誇りを胸にしている。どうよ、親父! 俺の船だ! そう自信満々です。
「ありがとう、ありがとう!」
 そう言いつつ、言ってくるという。未知は感無量で見守っている。いくら時代が変わっても、そこは不変だと思えます。未知はある意味古典的な待つ女の要素もある。モネもか。
 そうして出港する亮。一方、永浦家の面々も出立です。耕治が神妙な顔で、龍己のあとを追っています。
 このあと、未知も大学へ向けて旅立つ。一方で、子どもたちが亜哉子のもとへ駆け寄ってきます。

そして数年後

 そして数年後――ウェザーエキスパーツの面々は、海上データを得ることに手応えを感じています。ジェネレーター(情報を送るユーザー)も増えているって。モネがここで採算は取れていないと言いますけど。それでも全国区に広がっているとか。
「信じて続けることが大事です」
 朝岡がここでキッパリと言い切ります。

 モネは浜辺で子どもに天気の解説をしています。水が循環すると伝わってよいことです。モネは残るけれど、子どもたちは亜哉子に導かれ去ってゆきます
 すると、ここへ菅波がくる。
「あなたと僕は違う時空で生きているのか。2年半会ってない」
 そういけてない私服でいう菅波。
「私たち、距離も時間も関係ないですから」
 モネはキッパリとそういう。やっと会えた。いいですよね。そう確認しつつ、ハグをします。コロナ対応をしていた医師とはそういうこともできなかった。
「先生、本当にお疲れ様でした」
 コロナと戦ってきた菅波をモネはそう称えます。でも、ロマンチックな再会だけで本作は終わらせない。モネは子どもの声が聞こえたことから、雨が近いと察知します。
 そして手を繋いで、二人は去ってゆくのでした。

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