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【読書】細川重男著『論考 日本中世史─武士たちの行動・武士たちの思想─』日本史史料研究会ブックス

 大河ガイドとして最強――そんな触れ込みの一冊。しかし、中身を読めば「どこが!」と突っ込みたくなるかもしれない。

 その道の研究者ならではの豆知識から、縦横無尽の替え歌まで。時代も『鎌倉殿の13人』の範囲外も扱っているので、「騙された!」となる読者がいても私の知ったことではない。
 文体も癖が強いし、正直、この企画がどうして通ったのか理解できない。ブログ記事の再録を単行本にって一体。大河ありきではあるものの、大河にそれほど寄り添ってもいない。

この一冊がでたことに意義がある

 と、ここまで読むと「お前は貶すつもりか!」とお思いでしょうが。そうではありません。こういう一冊が出ただけでも、2022年の大河は成功じゃないかと思う次第。

 細川先生の本はおもしろい。『沼にハマってきいてみた』の大河コラボ「鎌倉幕府沼」の方がハマったきっかけとして、細川先生の本をあげておりました。それも納得できます。
 歴史系の本って、いろいろ評価基準があると思います。細川先生はめっぽう面白くて中毒性があるという、そんな魅力がある。沼に嵌める力で言えば一番です。
 三谷幸喜氏も大河を書く上で、確実に影響を受けていると思います。大河をみて、本書を手に取る。そんな中から未来の中世史研究者が出たら大成功ですよ。そういう意味で大変価値のある一冊です。

 このことはもう公開済みのあとがきにまとめられている気がしますので、どうぞ。


細川重男『論考 日本中世史─武士たちの行動・武士たちの思想─』日本史史料研究会ブックス(文学通信) https://bungaku-report.com/books/ISBN978-4-909658-70-8.html

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