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『ちむどんどん』第68回 勝手にトロフィーにされる恐怖

 いよいよ沖縄角力大会。暢子は張り切ってお弁当を作ります。

賢秀の役目

 今回は和歌子と賢秀の関係から始まります。何も知らない、うぶで地方出、将来の夢はお嫁さんという和歌子。そんな彼女をゲットすると勝手に賢秀が考えているわけです。
 相手の意思を確認せずに勝手に突っ走る傍迷惑。にーにーはダメだなぁ。そう誘導していて、それは賢秀だけではないと示してきます。

ジェンダー、恋愛、盛りだくさんの問題提起

 暢子がお弁当を作っているところ。女が無償労働しているようで、和歌子はバイト代が出ると断ってあるので良心的かもしれません。それに暢子の場合は「女だから」ではなく「シェフだから」となる。そして将来店を持ちたいという暢子の思いは、花嫁になりたい和歌子からみたってカッコいいのです。

 そんな暢子の沖縄の天ぷらをおいしそうに食べる愛。彼女は暢子にお礼を言います。愛は暢子のおかげでやりたいことが見つかったと。それって仕事のことですよね。

勝手にトロフィーにされる恐怖

 そして沖縄角力大会。智は優勝したら暢子にプロポーズするということを和彦は口の軽い順次から聞いてしまいまして。一回戦の相手が智である和彦は動揺します。
 智を俺が倒せば、プロポーズは断念だ……。
 そしてそのことを、やっぱり口の軽い順次から愛も知ってしまう!

 そしていよいよ対戦となって、強い智相手に、取材するだけと語っていた和彦は粘りに粘ります。何も知らない暢子は無邪気に両者を応援する。愛は本気を出している和彦の姿に戸惑っている。
 そして勝敗がわからぬまま、次回へ。
 
 これは暢子が知らんうちに勝手にトロフィーにされているという、そんな身勝手さへの問題提起でしょう。それこそ昭和の恋愛もの。古典的な神話でもそうだったけど、それってなんなんですか?

 アンドロメダーはいったいいつ、ペルセウスと結婚するって同意したのよ?

 和彦がどんどん海に沈めたくなるくらい最低になってきた。暢子もいい。愛は最高。そんな中で和彦サイテー! そう持ち込む本作は高度です。

高度な脚本、構成

 うまい。どんどんうまくなる。ダラダラするどころか、緻密になってきた。週のテーマを真ん中の水曜日に起く構成を意識していて、そこにぴたりとはめることをこなせるようになっているとわかります。

 もうちょっと遊んだり。崩したりしてもいいかも。そう思えるくらい丁寧な作りです。

 味覚描写も巧みで、沖縄の天ぷらの魅力がすごくよくわかる説明でしたね。定番を踏襲しつつ新しい方向へ踏み込む、すごくよい脚本だと思います。
 脚本がいいと底がしっかりしているから、役者さんも光りますよね。撮影や小道具も頑張っている感じ。いいループに入ってますね。

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