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『水都百景録』を楽しもう!「阮籍と嵆康 その一」

 ついに阮籍と嵆康が実装されました。そろそろかな、と考えていることも含め、ちょっとつらつら書きます。

阮籍と嵆康が実装されたので、中国史思想観点からブロマンスを考えていきます!

 唐突にそう宣言します。
 そんなに性的なことは掘り下げないとは思いますが、かつての中国ではどんな感じでメンズが親愛を深めていたか。現代とは異なる視点で考察するようにします。

 私も恥ずかしながら、中国エンタメの現時点には追いついていません。友人がはまっている『羅小黒戦記』すら未見というのは恥ずかしい限りです。もっと勉強していきます。

 ただ、昔、この分野はかじったことはありまして。みなさんの助けになることがあればと、雑駁ではありますがつらつらと書いていこうかと。

その前に、嵆康の血について

 グラフィックで嵆康は血がついています。処刑する前に拷問されたのかというと、かったるそうな表情もご注目ください。
 嵆康は優秀なので、宮仕えしろとスカウトされます。そのときの言い訳を美文で書くわけですが、そこにこんなことがあったんですね。

「俺、皮膚がかゆくてしょっちゅうボリボリするし、オフィスワーク向いてないのよね〜」

 皮膚炎ですかね。その様子なんだと思います。うっすらと血が滲んでいるし、そんなに深い傷じゃないから、ボリボリしたあとかなと。

阮籍と嵆康はなぜ重要か?

 中国史における男性同士の同性愛というと、「断袖」や「余桃」という言葉がでてきます。それはそれで間違ってはいないのだけれども、私はそれは違うんじゃないかと思います。
 この言葉は、権力者に寵愛された少年という、対等とはいえない性的搾取の関係です。美少年は育ったらそれで終わり。そういうあんまり愛としては美しくない関係ですし、言葉のニュアンスそのものにマイナスがある。

 だからこそ、阮籍と嵆康を、中国史随一の推しカプとして推奨します!

 この二人はそこまで年齢差もないし、上下関係もない。お互いの才能や美徳がともかく好きで好きでたまらず、いつも一緒にいたいと思った結果がブロマンスになる。そういう理想的な関係です。

 当時の人も「やだ、きもっ!」なんて思わない。むしろ憧れる。彼らの友情って素敵。そう思っていたところが素晴らしい。

 友愛の象徴だからこそ、そりゃ『水都百景録』で文徴明も実装するというのが納得できます。この二人の友愛はともかく時代を超えて尊いし、既に史実がカップリングをしているので、堂々と押して欲しいと思います。

 むしろ時代がやっと彼らに追いついたんですね。どんなイラストやら小説を描こうが、友愛が尊ければ本人も受け止めるんじゃないかな。そういう関係なので、どんどん盛り上がるといいと思っています。

 ちなみに嵆康は、悲運の処刑も含めて『魔道祖師』および『陳情令』の魏無羨のモチーフだと私は推察します。長くなるのでそれはまた今度。

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