『ゴールデンカムイ』#310 祝福
毒矢の鏃が体内に残り、絶体絶命の尾形。腹部から鏃を出そうとし、成功します。しかし毒は回っていました。
反撃しようとする尾形の前に、勇作が立ち塞がる。悪霊と毒づく尾形に、もう一人の尾形――彼の押し隠していた認識が語りかけます。
アシリパに銃を向けると出てくる勇作。それに向き合おうとしていなかった尾形。それは「罪悪感」だ。そう明かされます。
ここで隠れていた瞳まで見せた勇作は、輝かしい青年でした。
幻覚だと否定したい尾形。でも彼も内心気付いてはいた。勇作だけは自分を愛してくれていたことた。愛した瞬間があったからこそ生まれてきたこと。
でも、それだと父の愛を確かめるために、母を殺した意味がない。父を殺した意味もない。もちろん弟を殺した意味もない。
自分が何かに欠けていないなら、欠けた人間として、第七師団長になって周囲を睥睨する意味がない。
欠けた人間にふさわしい道を歩まされただけでは?
すべてが間違っていた。それを勇作と重なっていて気づかせるからこそ、アシリパを殺そうとした。
アシリパは尾形に光を与え、殺させる。
尾形は錯乱し、これ以上考えるなと自分を叱咤します。
そして残った左目に銃口を向け、刀を使い、引き金を引くのでした。
「兄さまは祝福されて生まれた子供です」
そう勇作に言われるまま、残った左目を撃ち抜く尾形。弟の左後頭部を撃った兄は、自らの左頭部を吹き飛ばしました。
母に毒を盛り、父の腹を切り、弟の頭を撃った尾形百之助。彼は毒にやられ、腹を切り、頭を撃ったのでした。そして列車から落ちるようで、天に舞い上がるようにも見える姿勢で、彼は消えてゆくのでした。
尾形の最期を見届けるアシリパ。ヒグマはアシリパが倒します。列車の機関室は無人だ。このままでは函館駅に突っ込んでしまう。アシリパは一人残された鶴見に、矢を向けるのでした。
勇作はかつて兄にいった。罪悪感のない人間なんていないと。尾形百之助とは、罪悪感を持つ普通の人間でした。
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