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『ゴールデンカムイ』#279 俺の手柄

 1901年(明治34年)――花枝子と勇作のお見合いミッションを終えて、下半身裸の杉元。そんなノラ坊杉元は、菊田に問いかけます。

 地獄の特等席というのは、弟の死が関係あるのか? そう問われます。菊田は飯が食えるからと弟を陸軍に誘いました。関東の貧乏な家に生まれたのでしょう。そして日清戦争で、弟は戦病死しました。
 ここで菊田が日清戦争は戦死よりも戦病死が多かったと語ります。むしろこれは日露戦争が例外的。人類全体がそうですが、戦死よりも戦病死が上回る傾向は長いことあった。西洋だって「手をきっちり洗わないと危ないよ!」という医学の常識すら確立まで時間がかかった。ナポレオン戦争時代の話を進めるウェリントンにナイチンゲールが「老害は黙ってろ……」と迫ったあたりが劇中の時系列のちょっと前。ナポレオン戦争当時は、麻酔もなしに足をギコギコちょん切ってたわけです。
 日露戦争で戦病死がそこまで抑えられたのは画期的です。日本の軍事がそれだけ優れていた。三八式歩兵銃もかなりよいもので、これが日本陸軍の代名詞扱いであることでも覚えておいてくださいよ。
 日露戦争まではできていた技術重視が廃れ、なまじ第一次世界大戦を見ていないから、第二次世界大戦で大敗北する。兵士は餓死する。そういう破滅がこの先にあります。鯉登が着ているコートやブーツは立派です。しかし、これまた次の戦争の頃にはペラペラになってしまっています。

 杉元はそんな菊田に、最後は自分で決めることだと言います。そこが杉元のこだわりのようだ。誰かの選択を尊重すること。
 菊田は弟の幻を見ます。
「もう自分を許して前に進んだら?」
 菊田はハッとする。そして杉元はこう言います。
「それに俺はめったに死にません。不死身ですから」
 菊田はため息をついて、弟の形見である軍帽を杉元にあげると言い出します。よかった、前を覆うものができて。でも頭にかぶってんだよなぁ、杉元よぉ。
 そんな菊田に、杉元は勇作に花枝子令嬢のことを伝えるよう念押しします。
 菊田は花沢勇作はすでに陸軍全体の問題になっちまってる、忘れろと言います。菊田もいられなくなってる。また陸軍で会おうと言って、彼は去っていきます。そして金塊争奪戦で再会すると。
 杉元がどうやって服を手に入れたか、そこはさておきまして。

 菊田はこのあと、奥田秀山中将から鶴見監視任務を受けます。尾形も同じ任務を受け、別行動をすることになっておりました。

 そして1904年、二百三高地で杉元は倒れた勇作の死骸と、嘆く兵士たちを目にします。ここで勇作の目がバチッと開きますが、それは深い青、アシリパの目でした。

 ここで杉元の回想は終わります。
 アシリパが解読に挑んでいると、土方が興味深いことを言います。あえて漢字を選んだ意義は、和人と協力しろということではないかと。ラテン文字でもキリル文字でもなく、漢字であること。
 白石はアイヌのために和人を利用してやれということじゃないか、と言います。さて、ウイルクの思いはどちらなのか?

 菊田は日露戦争の英雄が、俺のきっかけで陸軍に入ったことは「俺の手柄」かと思い出しています。一方で杉元は、今度あったら菊田さんだろうと本気で戦わねばならないと決意を固めています。

 アシリパは最後のヒントとなりそうな、ボウタロウの金貨をかざしている。重要な意味があるはずだと睨んでいます。それはその通り。鶴見は金貨を持ち「解けた」と宣言します。
 二階堂がこれで金塊争奪戦が終わるかというと、鶴見はこれからだと言います。そして菊田の胸部に二発、弾丸を打ち込むのでした。

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『ゴールデンカムイ』アニメ、本誌、単行本感想をまとめました。無料分が長いので投げ銭感覚でどうぞ。武将ジャパンに掲載していました。歴史ネタでより楽しめることをめざします。

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