『おかえりモネ』第110回 幸せになってもいい
2020年1月4日午前3時2分――モネのスマホに着信がありました。
亮が帰ってくる
中央漁協の磁郎が、亮たちの船が抜けたと。石巻沖にいて、あと2時間もすれば戻ると。
帰りを待っていた人たちがやっと安堵します。神も仏もいた。そう三生は言います。まあ、副住職だからね。新次は漁業にいっから連絡しなくていいという結論に達しますが、果たしてどこにいるのでしょうか。未知も、明日美も、仲間たち全員が安堵します。
ここの演技が自然体で。モネはいつもの割と無表情でクールな反応ですが(感情を表に出すと止まらないしこれが彼女の反応!)、あの未知は思わず泣きじゃくっています。
あの二人、うまくいくといいね。そう見守るモネと悠人。
父は迎える
新次は耕治と電話で話し、お礼を言っています。迎えに行ってやれと耕治に言われると「ガキでもあるめえし」と突き放すしますが。彼の軽トラがいる場所は港でした。農業はじめ地方生活に向いた、あの白い軽トラック。それで港に乗りつける父親。この軽トラは息子の足でもある。
新次は自分を必要以上によく見せようという気がない。このドラマの東北のおっさんはみんなそういう傾向があるけれど。耕治との電話で迎えに行くに決まっているなんて言わない。視聴者にあざとくアピールしたりしない。ただ、行動で父として、漁師の先輩としての振る舞いを見せてくる。本作は斬新です。こういう東北のおっさんの味がじんわり出てきます。出汁をとったように、じわじわ聞いてきます。静謐なんだよなぁ。
こういう東北男の味が見たかったんだなぁ。
漁業で、新次と亮の父子は頭を下げて詫びる。でも周りは「頭下げてんじゃねえよ」と気遣い,シャワーを浴びてあったまってくるように言います。すごいことをした。このドラマ、荒らしに揉まれる海の場面はなかった。ただ亮がシャワーを浴びたそうな疲労感を見せることで、困難がわかってきます。
未知はそんな亮を見つめています。よく知っている人が、まるで初めて見たように思える。そんな驚きが未知にあるのかもしれない。
二人とも、なんで!
モネはそんな未知と亮が二人で話せるように見守っています。
未知と亮,二人の対話へ。未知はしみじみと「よかった」と言います。亮はそれにお対して、このまま俺といたら多分ずっとしんどいと返すのです。未知はわかっていると。
亮はひどいごどをしているとわかってる。自分が甘えていたとわかってる。未知に大丈夫だという。もう縛られなくていいと告げる。
未知は「大丈夫」という言葉こそが辛いと返す。ここで、モネが出てきます。
未知も諦めそうになっている。大丈夫と返されると自分は何もできないって言われているようで、それがかえってしんどい。亮は俺といてもしんどいだけだという。
「もういい……終わりにする」
「二人とも、なんで!」
ここでモネが入った。
モネは訴える。お互いすごく大事って言い合っているのに……亮の大丈夫に、未知もモネも傷付いてはいる。でもそれを言わせてきたものだってある。無理に笑わなくなっていい。
亮はモネにそう言われ、自分の本音に近づきます。
「大丈夫」って言いながら、本当は別のことを思っていた。
「お前に何がわかる」
そう思ってきた、ずっと。俺以外の全員に――。
そう言われ,モネは認めます。
「うん、私にはわからない」
それでもずっと、一緒に生きたい人がいる。りょーちんを絶対一人にしなかった人がいる。大丈夫だなんて突き放さないで欲しい。
そう言われても亮は怖い。結局親父と同じじゃないか。うまくいっていてもきっとどこかで崩れる。そんな人間と生きてきて辛い思いをさせたくない。
大事な人に、辛いかおをさせるのは嫌だよ。そう言う亮の手を、未知はとります。
「一緒にいたいだけでも駄目なの?」
「俺、幸せになってもいいのかな?」
そう二人は嵐を乗り越え、近づきました。
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