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『水都百景録』を楽しもう「厳さま」

 厳さま!
 なんか態度が悪くてイライラする。狙ったものを持ってこない。そもそもなんであいつは偉そうなの?
 モデルと思われる人物はいます。

嘉靖年間の“厳さま”といえばアイツか

 文徴明は長命です。同年齢でありながら短命であった唐伯虎(唐寅)とは異なり、彼の後半生は嘉靖年間が長く含まれます。
 そんな嘉靖年間といえば「嘉靖の大倭寇」と呼ばれるほど倭寇大暴れ時代です。このゲームに倭寇が悪役として登場するのは、歴史背景をふまえれば当然のことといえます。
 そんな嘉靖年間を生きた文徴明が主役。
 で、「厳さま」となれば誰がモデルか?
 態度が悪いけど、審美眼はある。
 こう条件を見ていくと、厳嵩(げんすう)・巌世蕃(げんせいはん)が思い浮かびます。この父子はしょうもない悪徳政治家とされています。
 当時の嘉靖帝は道教マニアです。厳嵩は道教に用いる祝詞のような「青詞」を作るのがうまい。そんな実務に役に立たないオカルト能力で出世します。巌世蕃はそんな父の引き立てもあり、工部尚書にまで出世します。
 
 工部の厳さま(中文は厳大人)……となると、「ああ、あいつか!」と連想する。そんな人物です。彼は贈収賄政治家として悪名高いため、そんな人物をさわやかに描くのもちょっと。そんなわけで、厳さまがイラつくのは史実準拠ということですね。
 ただ、巌世蕃は美意識は高く審美眼はあった。だからああいううんちくを知府に向かって垂れるんでしょう。

史実の巌世蕃はどうなったか?

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