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『おかえりモネ』第114回 いつ、新しい道を選んでもいい

 ガラケーを持っておけと亮が告げます。
 龍己は新次に、仏壇の妻の遺影を示します。あそこに入れば案外寂しくない。いろんなことを話せるって。寂しいこたぁねえよ。そう笑い飛ばすのでした。
 ここで雨が降ってきます。モネはしみじみと、すべてが整うと雨が降ると言います。

耕治も新たな道をゆく

 新次の次は、耕治の進路です。雅代の遺影も参加し、永浦一家が揃います。皆で話し合って決めるわけです。
うちもこれからの話をしなくては。耕治も次に進みたい。それはうちの仕事をやること。そう言う息子に、父は高校卒業したらさっさと仙台に言ったと言います。あのときとはちがう。それでいいじゃないか。そう耕治は返します。
 全然変わってないけどね。そう妻子は言い合います。全然変わってないところ。それはモネがいうには、真っ直ぐでポジティブなところ。
 それでも龍己は複雑だ。
 海は自然のもの。ぺちゃんこになる。立ち直れねえ。そう語る父に、俺だって銀行で9年間みてきたと。造船所も。冷凍機械の作り手も。氷屋も。スーパーのような小売も。水産関係が大打撃を受けました。金のことだけ話すんじゃない。もうそろそろ、やめようか。そんな声もたくさん聞いた。

親父はすげえよ

 すると龍己の話が出てくる。挫けねえ。牡蠣棚を組み立て始める。ああいう人が目の前にいたから、やってみっかと思えてきた。
「親父、すげえよ」
 耕治はそう悟りました。親父みたいな人がいっぱいいるから、この町はここまでになった。そういう人が世の中には必要なんだ。永浦水産は、なくしちゃ駄目だ。どうせ畳むなら、俺にくれ!
 それが彼の決意です。
「何言ってんだおめえ」
 それでも父は反論する。船の免許がねえ。それなら取る!
 町しか歩いてねえのに牡蠣棚歩けっか! 80過ぎた爺さんが歩いているんだ、歩ける! 
 簡単じゃない! だからやるんだよ!
「よし、やるならやってみろ。おめえにくれてやる」
 やっと龍己も根負けだ。かくして、耕治も新しい道を歩むことになるのでした。けっぱれ!

土を耕し、水を治める

 耕治は2020年3月末で退職することに。この設定にドキッとしますよね。これから先、なんであのどきやめちまったのかと嘆くことになるかも。永浦水産のお得意様は高級ホテルだべ。そっだの暗雲が……まあ先に進みましょう。
 まあ耕治は仕事で優秀だし。家族はそう分析しています。耕治って造形が深くて、ちゃらんぽらんで軽薄なようで、人の地雷を踏むような言動がないんですよね。
 遠回りにやりたいことを見つけてもいい。人間は変わってもいい。いつ始めてもいい。そう耕治の選択を重んじる家族。
 ここで亜哉子が、雅代に口止めされていたある秘密を語り出します。
 実のところ、龍己も雅代も、耕治と亜哉子が好きなことをする姿に満足していました。龍己は息子の選択を誇りに思っていたのです。
 いつから? 命名のときから。
 土を耕す。
 水を治める。
 漁業と縁遠い名前でした。
 自然に振り回される漁師ではなく、むしろ治める人になって欲しい。そんな思いがある名前です。
「あなたも好きなことしなさい」
 そんな秘密が明かされるのでした。

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