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大河ドラマ展と比較した『ゴールデンカムイ』展

 大河ドラマ『ゴールデンカムイ』はいかがでしょう? 大河初の漫画原作、アイヌを扱う、そして北海道舞台。これだけ揃っていて話題にならないはずがない。実写映画は尺が足りないし、いっそ大河はどうでしょうか。
 
 ここまで読んで、冗談だと思いましたか? 私は本気です。そうすれば、大河で培った経験値を使える。そもそも50作以上つくっておいて、北海道が舞台にならないのは不平等でしょう。沖縄も一作かつ尺が短く、これもおかしいと思っています。
 さて、本題でも。

『ゴールデンカムイ』展と『鎌倉殿の13人』展の違い

 たまたま見に行って思ったことなぞ。これは偶然同時期に行ったものですが、改めて積み重ねの差を感じました。
 大河展は「ドラマで使用した上総広常の書状」「ドラマで菅田将暉さん演じる源義経が着用した甲冑」という触れ込みで、作られたものを展示しています。当たり前ですが、当時のものではない。

 それが『ゴールデンカムイ』展は、実在の人物が使用した軍刀や軍服に「鶴見中尉の軍服」とつけている。これは大変問題があります。さらには現代に制作したマキリと、当時からあった軍服を同時に展示し、その区別がつきにくくなっています。

 グッズ展開について。
 NHKの番組名やロゴを用いた商品は、必ず許可を得なければなりません。「NHKエンタープライズ」というステッカーが貼ってなければ問題です。このあたりは厳密。
 大河の登場人物、たとえば今年ならば北条義時のグッズにせよ、家紋をまちがえるとまずい。家紋商標登録はまずしていないものの、できる限り正確にして欲しいとは思います(間違っているものは時折見かけるけど)。
 大河はご当地によっては、都道府県単位でガイドラインを決めている場合もあります。これは経験値があって、戦国時代なら中部地方がお手のもの。幕末では山口県、鹿児島県、土佐県、福島県会津地方に蓄積があります。
 今年の神奈川県はそうでもなく、はしゃいでいるようで、ゆるく展開していて微笑ましい。神奈川県はどちらかというと近代以降のモダンなノリ、おしゃれでサザンで湘南って感じというかさ。

 『ゴールデンカムイ』展は、キャラグッズ、漫画モチーフグッズは別に文句はありません。いいと思います。が、以前も書いたけれども、どうしてアイヌモチーフのものがないのか?
 アイヌの模様を無断使用することはいけません。しかし、素晴らしいデザイナーや工芸家の方もいます。そういう方とコラボして許可を取って、スマートフォンケースでもお皿でもできないものでしょうか?
 有田焼とアイヌ模様のコラボなんて、実に素晴らしいと思うんですよ。

◆有田焼とアイヌ伝統文様 コラボ商品、窯元が皿制作 文化発信へ、海外売り込みも | まちの話題 | 佐賀新聞ニュース | 佐賀新聞 https://www.saga-s.co.jp/articles/-/780579

 改めて展示、観光、グッズ展開を見ると、経験値の違いを感じる。
 アイヌをどう扱っていいのかわからないというのは、これもそうかなと。

◆『ゴールデンカムイ』דサンリオ”コラボカフェが6月23日より開催。“サケのチタタプを乗せたトマトパスタ”、“カリスマ達のコーラフロートと変な汁”など気になるメニューばかり! | ゲーム・エンタメ最新情報のファミ通.com https://www.famitsu.com/news/202206/09264449.html

 アシㇼパとキロランケ、谷垣がいないのはなぜなのか。アシㇼパは以前、洋装コラボで批判があったとか。でもそういうことをしていくと、萎縮するばかりでしょう。
 アイヌのデザイナーの方は、ドレスとアイヌモチーフを実現している。アシㇼパやキロランケが、アイヌ紋様入りのエプロンでもつけていたら素敵だろうに。なんだか中途半端で残念です。

 まだまだこれからだと思いたい。
 ディズニーの『モアナと伝説の海』も揉めました。けれども、それでモアナグッズがディズニーで禁じられたかというとそんなことはありませんから。
 もっと模索して、避けるのではなく、前進するように展開できればいいと思うのです。

 たとえばアイヌ紋様と漆器のコラボなんて、とても素敵だと思います。そういうことがアイヌと和人の協力という、『ゴールデンカムイ』のテーマなんじゃないかな。

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『ゴールデンカムイ』アニメ、本誌、単行本感想をまとめました。無料分が長いので投げ銭感覚でどうぞ。武将ジャパンに掲載していました。歴史ネタでより楽しめることをめざします。

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