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『おかえりモネ』第95回 勇者の帰還

 宮田は音がよれる、下手なのは勘弁と言いつつ、ホルンを吹いています。モネと菅波はそれに聞き入っているのでした。

力強くなくとも、できること

 菅波はモネに言った。先生への信頼なんて、くだらない感情を優先して、かけがえのないものをなくしたなんて愚かだと。
 モネもこう言った。音楽なんて何の役にも立たないよ。
 そんな二人が、感極まって音楽を聴いています。
「音楽ってこんなにも背中を押してくれるものなんですね」
 モネはそうしみじみと言います。肺の力が衰えても、宮田のホルンは心を動かしました。

 そして気づいたことをいう。誰かのために役立つには、力強くないとできないと思っていたと。
 でも、島に戻るとそうじゃない。おじいちゃんも、家族も。地元の人たちは力も強くないけど、なのに明るくて、何よりすごく楽しそうで。
 それで私の方が元気をもらった。モネはここで言い切ります。
「私、島に戻ります」
 勝手に決めたことを隣にいる菅波に言うと、菅波は謝ることはないと返します。自分も突然東京に戻ると決めてしまったと。そうなんですよね、実はこの二人って「愛しているなら一緒にいたいでしょ!」という行動規範は取らない。明日美なら、菅波は駄目だろうと思う。いや、大抵の人が駄目だと思う。真価を見極める前に避けるでしょう。

一緒にいるってどういうことでしょう

 気仙沼と東京に分かれることになる二人。とにかく二人の仕事が落ち着くまでは、結婚は保留という結論に至ります。
 ここで二人は問いかけます。
「一緒にいるってどういうことでしょう」
「一緒に、二人の未来を考えるってことじゃないですか」
 二人はこれからも一緒にいるのでしょう。

モネ、決意プレゼン

 モネは出社し、ミーティングでJテレ気象チームをやめたいと言い出します。高村は「あーもう! そうだろうと思ってた!」と予測済み。朝岡から言われていたそうです。お見通しだったとモネは安堵したのかなんだか言いますけど、朝岡が諸葛孔明系なので仕方ない。
 だって、おかしいじゃないですか。菅波からのプロポーズはそりゃ当人しか知らないけど。全国区に顔が売れている。うまくいけば神野ルートもある。それなのに、あんな離島へ戻るんですよ! そう思っちゃいませんか? そう思わせないように、じっくり描いてきたとは思うけれども。
 じゃあウェザーエキスパーツもやめるのかというと、そうではない。気象予報士の資格は使うし、本社データも使いたい。サラッと割と策士めいたことを言うモネ。モネってもうここまでくると好きな人は好きで突っ込まれないけど、なかなか計略を使うタイプではあると思います。
 でもそれって、あの社長相手にプレゼンを通すことが前提なのでは? なかなか豪胆です。

 かくしてモネはプレゼンに挑みます。
 モネは策士なので、テキパキと外来語を駆使します。
 ニーズがある。
 これからのスタンダード。
 トップランナーになる。
 こなれてきましたねえ。そんなもん日本語で言えよ! そう突っ込みたくなりますけど、外来語で言うとなんかかっこつきますよね。大河ドラマでも「スペシャルな仲……」とかなんとか強引に言わせてましたっけ。
 安西は「トップランナー」という言葉にウズウズしちゃってます。その言葉が好きなんだってさ。わかる。安西はそういうトレンドの先読みみたいなことが好きよね。
 ここまでは【理】詰めです。でも、それだけじゃない。【情】に訴えることも大事だ。
 個人的な思い入れと前置きし、モネは自分のことを話します。
 自分は気仙沼の離島出身である。8年前の震災以来、少し病的なくらい、役立ちたいと思うようになった。今なら貢献できる。そう思っていたけど、ちがった。
 竜巻の被害を受けた実家は、大変な時でもお祭りみたい。しぶとくて、かっこよかった。助けたい、守りたい気持ちもあるけど、今はただそこにいたい。一緒に何かやりたい。そう思えたことが、すごくうれしかった。
 そこにいられるチャンスをいただければ、一生懸命やる!
 そうアピールをしました。
 安西は反応しています。
 【理】でいけば、ビジネスとしては成立しない。
 でもなんだか胸が熱くなる! 【情】に訴えかけられた。心が動いたのです。さて結果は?

偉大な決意

 朝岡が結果をモネに伝えます。ビジネスとしては認められない。でも気仙沼に支社として、給与と初期費用30万円をつけて送り出す。とはいえ、2年で結果は出すこと。ブービー賞だってさ。
 【理】だとダメだけど、【情】では通ったのでしょう。
 朝岡は激励します。アプローチはちがうけど、目指すところは同じである。気象をライフラインにすることが同じであると。
「よく決心しましたね」
 朝岡は、人の顔が見える仕事をしたモネに関心しています。そしてようやく帰れるモネを祝福します。
「ここにくるまで、本当にお世話になりました」
 モネはいよいよ、島へ戻ります。

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