『ゴールデンカムイ』第4期第9話(第44話)「共犯」
インカラマッは刺された傷から回復したものの、病院のベッドに腰掛けています。
谷垣、父になる
マタギとしての決別宣言をした谷垣に、鶴見たちが追いつきました。この会話では菊田の「庶民は日露戦争犠牲者を忘れるのか?」というひとことにこの話の重要なところがあると思えます。
どの市町村でも、明治以降、昭和までの戦没者慰霊碑があります。そこに彫られた名前を見ますと、こんなところから徴兵されて異国で亡くなったのかと、悲しくなります。そして名前の数は、日清、日露を徐々に増え、アジア太平洋戦争でまた増大すると。そういう日本近代史の流れを頭に入れておきましょう。
これが日本人の悪い思考で、明治以降の靖国神社あたりから強まっていると思うのですが。心理学でいうところの「サンクコスト効果」が発揮されるんですね。その意味はここで割愛しますが。要するに、なまじ戦死者を英霊として数値化したものだから、「先に亡くなった英霊たちのためにも戦う!」と突き進むようになってしまう。
靖国神社みたいなかたちでの信仰心というのは、日本古来からでもなく、明治以降です。しかも長州ローカル信仰を全国区にしたようなものでもある。日本の神道は明治維新で明確に線が引かれます。江戸時代までは『となりのトトロ』はじめとする、ジブリアニメの世界観と説明できなくもありません。アニミズムが濃い素朴な信仰心です。それが明治以降、ガラリと変わります。
菊田の語ることが鶴見の掲げる理屈だとすれば、明治以降の大日本帝国らしい「サンクコストの誤謬」にとらわれているということです。
鶴見の口からインカラマッが妊娠していることが明かされます。谷垣はそこでシラをきるような男じゃありません。
海賊房太郎を探しに
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