『カムカムエヴリバディ』第29回 朝ドラでニッポンスゴイのディストピア
安子はローズウッドに声をかけられます。まだ大福を売り終わってないと言うと、ローズウッドは全部買い上げ、米軍宿舎へ招きます。思いの丈を打ち明けた安子……気がつけばそこはクリスマスパーティでした。
これは“日本スゴイ番組”の朝ドラ版ですか?
そんなことを『まんぷく』の時に突っ込んだ気がする。まさかまたこうなるとは。
イケメンコーカソイドが日本人に「スゴーイですね」と笑顔で語りかけ、初めて食べた日本食を大絶賛……日本スゴイ番組のテンプレ通り過ぎて感動しました。
和菓子、しかもあんこを誉めるあたりも嘘くさい。
というのも、英米では「豆=塩味」が定番。豆が甘いのってゲテモノとまではいかずとも、違和感があるんですよ。私は幼少期、ミートパイを知ったときに気持ち悪いと思いまして。パイは甘いものという先入観があったわけです。あんなにホイホイと、甘く味つけしたレッドビーンを食べられるとは思えない。
それに食べ慣れていないから、あんこってただただ、ひたすら甘くてモソモソしていてなんだかな……となることも多いモノ。甘酸っぱい、のし梅とか。寒天系とか。ああいうものはゼリーのようでまだマシなのですけれども。羊羹もいいかな。
大福系はかなり違和感があると思いますよ。ましてやあの時代のあんなに若い米兵では。ローズウッドはまあ、日本語勉強していたから違和感が薄いのかも。ん? その割には和菓子を知らないのか。
考えるだけ無駄かもしれない。このドラマには人間は出てきません。概念の擬人化だけが出てきます。日本スゴイと言ってくれる脳内ファンタジーのアメリカ人。
「ちょっとは控えてくれよニッポン!」
「オレたちはニッポンに追いつけるのか?」
次にはこう言い出しそうでしょ、ローズウッドって。
んなわけねーだろ。ニセイの苦労に思いを馳せつつ、マイク・シノダが歌う“Kenji”でも聞いとけ。
いや、わかっとんのやろうな。わかったうでこんな気持ち悪いもんを作って流す。そこまで追い詰められとるわけや。
『永遠のジャック&ベティ』は面白いけどこれは……
安子とローズウッドの中途半端な英会話はなんなのか。日英ぐちゃぐちゃに混ざっていてリアリティなし。素直に字幕使えばええんちゃうか。
あの英会話も、教科書そのまんまといった風情でリアリティがなさすぎてもう。清水義範の『永遠のジャック&ベティ』を思い出しました。あれから時は流れて、今どきの英語教材はもっと自然ですけれども。NHKの英会話教材にむしろ誤解を与えかねないしょうもなさ。
まあ、本作の作り手が英語にさして興味ないし、実際に英会話を使って生身の人間と話していないこともなんとなく伝わってきた。別に留学しなくてもいいんですよ。それこそ道教えたりしたらいいのよ。
今朝もくだらない。くだらないを通り越して何か不安になってくる。
あとドアを開けたらいきなりパーティ。ドンキホーテで買ってきたようなサンタ衣装を着てのパーティ。
このドラマのスタッフは気もそぞろで、休憩時間にスマホアプリガチャのことで頭がいっぱいで気づかないのかもしれませんけどね。ああいうパーティをしていたら、音、雰囲気、料理のにおい等、気配はあるものですよ。ドアをバーンと開けてびっくりするということは、安子はそういう異変を察知する能力が低いということです。観察眼の鋭いモネなら何か察知していることでしょう。
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