映画「FALL/フォール」の感想
地上600mのテレビ塔に残された女性2人。
降りたくても降りる手段を失ってしまった。
そこからの、女2人の人間模様。
そんなお話です。
ここよりネタバレです。
夫婦+妻の友達、計3人でフリークライミングをしている最中に夫が事故で亡くなる。
悲しむ妻(主人公)を、一緒に事故現場にいた友達が励まし、弔いのつもりで高いテレビ塔にまた挑戦しようと誘う。
突拍子も無い、危険を顧みない傍迷惑な友達だな…
と思ったけれど、こういう事でもしなければ死んだ夫の事が頭から離れず、毎日鬱々とした気分で心配する父親まで避けていた主人公。
まず、その事故現場に居たのだからもうこのスポーツは二度としない。
と普通の人は心に決めるだろう。
なのにまたやるのかと。
無理矢理誘ってきた友達も、全く他人の事など気にしない自分勝手でやりたい事を何が何でも突き通すタイプでもうヤバい人。
絶対何かあるに違いないと思った。
しかし、こんな危険なスポーツに挑むだけあって準備もちょっとした閃きや知恵も全く無いわけではない。
果たして彼女達に降り掛かる不運は一体何なのか、そしてどうやって無事に地上に降りる事が出来るのだろうか。
そんな事を考えながら見進めるけれど、嫌よ嫌よと言いながらついて行く主人公とアホな友達に何度イライラしたことか。
しかし中盤、問題はそこでは無かった事が判明する。
亡き夫がこのアホな友達と不倫していたと地上600mで聞かされる妻。
しかも妻が錆びた梯子を登る時、ガンガン!ヒャッハー!とはしゃぎ(おかげで梯子のネジが緩み落ちてしまう)SNSに写真をアップしまくる友達。
いやぁ…
聞いた瞬間よく突き落とさなかったな…
ずーっとこればっかり考えているワタシ。
いや待てよ、あれは…
ここからは私の勝手な考察です。
記憶違いでしたらごめんなさい。
終盤、妻は夢か現実か分からない幻を見ており、その後我に帰ってから友達がアンテナの上に落下して死んでいるのに気付く。
確かにアンテナに引っかかっているバックパックを取ろうと降りたのはアホの友達自身だが、落下した瞬間の映像も記憶も無い。
上がってきたシーンはある。(幻)
でも、確かにその後ドローンも飛ばしていたしバッテリー充電(アレで出来るのだろうか…)もしていた。
バックパックの中身は確かに上にある。
バッグパックのみロープで引き上げ、友達も上がってきたところを妻は突き落としたのではないか。
しかしまた友達もアンテナに引っかかってしまう。
結果、救助を求める為のスマホ電波確保の手段がとられることになったのだが…。
幻?幽霊?の友達が「力が出ないから何か食べろ」だのと言って飛んできたハゲワシを食べさせようとするし、友達の腹にスマホを押し込み落とす瞬間に「愛してる」と泣くシーンも、
なんでそんな良い話になってんの?
と思ったのは私だけなのか…
夫と友達が実は不倫していた。それも夫から誘ってきた。と友達の口から聞かされ、結婚パーティー動画を確認すると、幸せいっぱいの2人を恨めしそうに見つめる友達を見つけてしまう。
ここが1番怖かった。
高い所も勿論怖いが、
2人を見つめる恨めしそうな顔が本当に怖かった!
ずっと前からお前が憎かったと知らされる瞬間だったとは。
でも何故ここ?!でバラすかな。
もしかしたら、アホの友達こそが夫を亡くして悲しむ彼女を突き落とすつもりでここに誘ったのかもしれないと思った。
あんたが助けなかったから彼は死んだのよ!と。
ただのアホでは無かったのだ。
うわー。
こわー。
地上600mの足場が2人分しかない場所でとんでもない真実を聞かされたら、あなたならどうしますか?
もし、2人とも助かっていたとしたら、シチュエーションパニックホラー映画としては説得力が無い。
主人公の彼女、いやアホの友達は果たして善か悪か、と考えるほうが足の裏がむずむずするのです。
しかしよく単純な動機と限られた場所と枠の中で、ここまで時間をもたせられる映画を作れたなと思う。
ずっとソワソワしっぱなしでした。
まずあんな細いテレビ塔に登ろうなんて誰も考えないし…
自分はそんな事よりも「女の嫉妬」について考えさせられた作品だったので、この作品は男と女で意見が分かれるだろうなと思いました。
撮影のメイキングがあるらしい。
それも見てみたい。
しかも続編も予定しているとのこと。
果たして今度はどこに登るんだろうね…。
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