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Sintyxiah Rec.01-2

《君には、素敵な家族が居た》

私はまず彼の家族構成から伝える事にした。
父親に母親、そして妹に従兄弟。

彼の記憶はある能力者によって改ざんさせていて
本当の家族については思い出させないようにしていた。

だが彼は何か感ずいた表情でこちらを見て答える。

《前に弟が居たような気がしたんです》

そんな事は無い筈だが、
親戚に当たる従兄弟の事なら
改ざんが解けている可能性が高い。

そう思った私は彼に従兄弟の情報を少しだけ話した。

《彼の名前は新田真仁、君の親戚に当たる人間だ》

この名前を聞いた彼は少しホッとした顔をした。

次に私は彼の気になっている狂戯根々について話し始めた。
彼女について私が話せる事は数少ないというか、
口止めされていて話せる事が無いに等しい。

《彼女は完全に消滅した訳では無いだが…》
《だが…なんですか》
彼が問いかける。

《君たちに会うつもりは無いらしい、もう二度と》
《どうしてですか、会えない理由でも…?》
彼が再び、私に問いかける。

《理由は答えられない、彼女に口止めされてる》
《そうですか…》

彼は唖然として黙ってしまった。

そこで幽羽遊が私に話しかける。

《狂ちゃんは満足したんだね、良かった》

それに答えるようにして根岸寿人が話し始めた。

《ネネは自分の役割を果たしたんですね…》

その一言で彼は部屋の奥へ行ってしまった。
彼はきっと無理やりに自分の気持ちを押し込めたのだろう。

《いつか故郷に居る従兄弟に会ってあげて》

私はその言葉かけて幽羽遊に別れを告げて町を出た。

次は何処へ行こう。

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