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ショートショートなど(一話読み切り型)

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ショートショート、創作文をここに載せていきます。また、「地味さんに恋して」という日常の地味な存在に対する愛を語った物語も一話完結型で載せていきます。 ※ここに載せる物語はフィク…
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#掌編

【創作文】松本スーパーウォーカーに会いたい。

(約1300文字) 毎月世界を揺るがしている雑誌『月刊スーパーマーケット』。その専属モデルである松本スーパーウォーカーは、バーチャル空間『今日はカレーの気分』でよく目撃されているらしい。 俺は松本スーパーウォーカーが七百日連続で夢に出てきたことを機に、バーチャル空間『今日はカレーの気分』に入ることを決めた。無論、布団から出ずに。この世の中、ベッドの上で決めたことは大抵が素敵な方向か、とんでもない方向に向かう。ええ、そうです。たった今あなたが考えたように“穏やか

【掌編】毛玉取り器のある生活

(約3400字)   床に転がった電動毛玉取り器。佐倉ライワ優希はベッドに座りながらそれを眺め、すうっと斜め下に右手を伸ばした。 「届かない」  優希は一言だけ呟き、ベッドに寝転がった。毛玉取り器は床に転がったまま。勝手に宙に浮いて優希の手元までやってきたりしない。 「もし今、このベッドの上で生まれ変わって毛玉取り器になったらどうしよう。ふふっ」  優希は右手を額に置き、はあっと息を吐いた。キィィイイイ……と、ルームのドアが開いていく。パタパタパタパタ、とスリッパの

【創作文】塩対応のルミルミ

(488字 2022年1月頃つくったものです) 「ルミルミ、今度デートしない?」 「うん」 「どこか行きたいところはある?」 「ない」 「そしたら、何か食べたいものは?」 「ない」 「何かやりたいことは?」 「ない」 「……」 「……」 「じゃあ、僕に任せてもらっていい?」 「うん」 「じゃあ、あそこ行かない? 新しく〇〇駅前に出来た猫カフェ」 「うん」 「ルミルミ、君のそういうつれないところも好きだよ」 「……ねえ」 「ん? 何? ルミルミ